『となりのMr.パーフェクト』の破天荒ヒロインに夢中! 振り回す役が似合うチョン・ソミン
『となりのMr.パーフェクト』が描く“幼なじみ”だからこその関係性
そして驚きの緊急帰国から始まる『となりのMr.パーフェクト』では、ソンニュは帰国するや否や、まず家の前で母親との叫び合いバトルを始める。母親も怒りが頂点に達すると地下室にあるドラムを叩き始めるし、まさにこの親にしてこの子ありだ。 また、自分の母親にいい顔ばかりするスンヒョの首を本気で締めたり、深夜に映画を観ながら悲鳴を上げて隣に住むスンヒョを起こしたり、「ぶん殴るよ」「クソ野郎」と暴言を吐きまくったり……。一見すると、ソンニュはただの自己中心的な人物に映ってしまうが、それも信頼できるスンヒョの前だからできることなのかもしれない。スンヒョが高校時代、水泳ができなくなってふさぎ込んでいた時も、遠慮なく梯子でスンヒョの部屋に侵入し、「今度(部屋に)鍵を掛けたらぶっ壊す」と言って斧をリュックから取り出した。そんな予想できない言動に、スンヒョも救われたはず。ソンニュとスンヒョはお互い、人生のどん底に行きついた時、自分をスッと水面に引き戻してくれるような存在なのだろう。 怖いものなしで突っ込んでいく性格のソンニュだが、その正義感や他人の気持ちを優先する性格から自分の気持ちに向き合うタイミングを今まで見逃してきた。自分の苦労や辛いことを吐き出すことなく、異国で生きてきたソンニュにとって、兄弟よりも自分の気持ちを理解してくれるスンヒョの存在は大きい。学生から大人になり、それぞれ離れて様々な経験を経た30代の2人が再会することで、どのように人生が変化していくのか、見守り続けたくなる作品だ。
伊藤万弥乃