「産学官金」で奄美の未来語る 地域密着の研究など紹介 鹿児島大がシンポジウム
鹿児島大学奄美群島拠点シンポジウム「奄美群島の『地域活性化の中核的拠点』をめざして」が11日、鹿児島県奄美市名瀬のアマホームPLAZAで始まった。同大学研究者や奄美群島広域事務組合管理者の安田壮平奄美市長、鹿大と連携する企業の代表者らが登壇。企業(産)、大学(学)、自治体(官)、金融(金)が連携して地域課題を解決する研究活動などを紹介し、奄美群島の未来を展望した。 開会あいさつで佐野輝学長は、約40年前に研究者が奄美に駐在するようになったことや、奄美大島や徳之島での拠点設置、地元自治体や企業との連携など同大学の歴史を紹介し「皆さまとの討議を通じて、今後の進むべき方向性を確認、共有したい」と述べた。 プログラムは2部構成。1部は「奄美群島における学術研究の推進と産学官金連携の推進」というテーマで研究者や鹿大と連携する地元企業、団体から5人が登壇。群島各地の言語(方言)や生物多様性、島バナナの葉を生かした養豚、傷を治す特性を持つシルクの利用可能性―など地域密着型の多様な研究テーマが紹介され、登壇者は自然や文化など島の宝に関心を持つことの重要性も訴えた。 2部は「産学官金連携でめざす奄美群島の未来」と題した座談会。各分野の代表者が登壇し、自然環境の保全など「つなぐ宝」と産業振興など「稼ぐ力」の両立に向けた考えをそれぞれの立場から語った。未来に向けては▽共通認識されている「守りたいもの」▽知識を得るための情報の告知▽奄美で研究したり働いたりする人材獲得や受け入れ―などが重要とする声が挙がった。 同大学の岩井久理事・副学長(企画・社会連携担当)は、「将来的には(大学1年次の)共通教育のカリキュラムに奄美群島での長期間のフィールドワーク(現地調査実習)を設け、奄美出身者に加えて奄美の素晴らしさに気付いた他県出身者も、将来の奄美のけん引者として活躍する姿を描いている」と熱く語った。 シンポジウムはオンラインとのハイブリッド開催で計約160人が参加。12日は、人材育成と教育がテーマで、県立大島高校の生徒も登壇する。
奄美の南海日日新聞