「また血だらけ…」貞子ではヌードも挑戦したホラークイーン・佐伯日菜子「次第に自分の顔が嫌になり」
──『らせん』の話に戻りますが、貞子役ではヌードシーンにもチャレンジされました。 佐伯さん:当時の事務所の社長たちも少し足踏みしていましたが、私は10代でしたし“怖いものなし!”だったので「貞子役やります!ヌードも全然大丈夫です」と前のめり。社長が「よく話し合おう」とすごく焦っていたのを覚えています。 ちなみに貞子は怖いというイメージを持つ方が多いと思うのですが、本当はとても悲しい運命をたどった実在する女性がモデルになっていたんですよ。演出家の方からその話を聞いて挑んだ井戸の中のシーンでは、特に霊感があるわけではないのですが何かがすーっと自分の中に降りて来て、すごく悲しい気持ちになりながら演じたのを覚えていますね。
── 人気は海外にも広がり、台湾や香港のテレビ番組などにも出演されたそうですね。 佐伯さん:アジア全体がジャパニーズホラーブームで、台湾のバラエティ番組でお化けコンテストの審査員や、香港版ゴーストバスターズの様な人気ドラマにも出演しました。ゴーストバスターズが各国のお化けと戦うという設定で、私は日本代表お化けの貞子。アクションあり、ラブロマンスあり、ホラーありでおもしろかったです。
■また血だらけか…と思っていたところに ── 数々のホラー作品に出演し、その高い演技力で“ホラークイーン”と言われるようになりましたが、ご自身ではどう感じていましたか? 佐伯さん:オファーをいただけることは本当にありがたいことでしたが、ホラー作品のオファーしか来なくなってしまったんです。自分の役が固定化されてしまっている現実に悲しくなり、次第に自分の顔も嫌になって、自分で自分の顔を鏡で見て、お化けみたいで怖いと思うように。
そんなときにもらったファンレターに「日菜子ちゃんは、本当はお化け屋敷のお化けじゃないですよね」と書かれていて、私って世間からそういう風に見られているのだと落ち込みました。 ── その悲しい気持ちを振り払えた転機はなんでしたか? 佐伯さん:ひとつの転機になったのはドラマ『TRICK』への出演ですね。オファーをいただいた当初は、また怖い役か、また血だらけか…と、自分の中ではお断りしたいと思っていたんです。