Lucky Kilimanjaroの熊木幸丸とフォーリミGENが語る、「フェスづくり」への意欲
音楽に合わせて踊ることをもっと当たり前に
ーラインナップやコンセプトももちろんですけど、フェスを主催するにあたっては裏側の泥臭い部分にも向き合わないといけないですよね。GENさんのSNS曰く、今年の『YON FES』のレイアウトにはかなり満足がいったそうですが。 GEN 会場のモリコロパークが全館休館の日に開催できたんですよ。例年は他の施設の営業に合わせて考えないといけないことが多い中で、今年は自由に、快適に導線を組むことができたので良かったですね。 ーその成功には、これまで積み重ねてきた地域や行政との結び付きが関わっているのでしょうか? GEN もちろんあると思います。それも『YON FES』のやりがいの一つかもしれないですね。最初は自分たちだけの夢物語だったのに、気付いたら地域の公益性のようなものが生まれていて。『YON FES』と直接の関わりはない商店や飲食店が、その日は異様に売り上げが良かったりとか。僕が昔働いていたヴィレヴァンにもお客さんが集まったり。自分が知らないところにも良い影響を与えてるんじゃないかと思えるのは嬉しいですね。 熊木 僕はご飯とお酒がとても好きで、ツアーではライブ翌日の昼から飲んだりしてるんですけれど(笑)、お世話になっているお店に恩返しをしたいという気持ちはありますね。だから、フェスをやるなら僕が好きなお店に屋台を出してもらったり、地方のビールを飲んでもらったり。音楽と一緒に色々なカルチャーを楽しめるショップがあって、そこからみんなが色んな方向に拡張して、新しいものにワクワクし続けられるような場所にしたいですね。でも……行政かあ。 GEN 行政ですね(笑)。今ふと浮かんだアイデアなんですけど、大きい酒樽を用意して、500円でワンショット飲めるっていうのはどうですか? 熊木 みんな帰れなくなりそう(笑)。僕たちのライブって、いつも異常にお酒が出るらしくて。もちろん個人の自由なんで飲まなくてもいいんですけど、飲んで踊るのって楽しいよというのは伝えたいですね。 ーここまで話してきた熊木さんの音楽観にも繋がりますね。「そんなに生真面目じゃなくてもいいんだぞ」っていう。 熊木 そうですね。前提となる何かを持っていないと楽しめないっていうのが嫌で。僕自身も、予習をせずにライブに行って、その場で「こういうことを伝えたいのかな?」とか考えながら踊るのが好きなんです。だから、音楽に合わせて身体を動かすことを、もっと当たり前にしていきたい。 GEN でも、日本人って照れ屋じゃないですか。みんなが踊り始めないと踊らないみたいな空気感があると思うんですけど、ラッキリのライブではそういう恥じらいをどうやって捨てさせてるんですか? 熊木 意識してるのは、僕が踊らないとみんなも踊らないっていうことですね。僕、全然運動できないんですよ。だからこそ、ダサくてもいいから踊りなよっていう。それが僕からお客さんに伝染して、お客さん同士で伝染していくんです。 ーより視野を広げて、アーティストがフェスを主催する意味や意義についてお聞きしたいのですが、GENさんは『YON FES』を始めたことでその他の活動に対する意識の変化はありましたか? GEN 自分でフェスをやるようになって、呼んでもらったイベントに出演するときもそこに関わる人のことを考えるようになったし、手垢を感じるようになりましたね。あとは、バンド仲間も『YON FES』を意識してスケジュールを空けておいてくれたり、名古屋の後輩たちにとっては出演が目標になっていたり。先輩後輩の繋がりが生まれたのは嬉しいです。 ー『YON FES』は、フォーリミのファンにどのように受け入れられていますか? GEN ファンに対する間口もどんどん広げていきたいし、知らないものを教えたい、提案したいっていう気持ちでずっと続けてきた結果、「フォーリミがやることなら間違いない」という信頼関係が出来てきているんじゃないかなと思ってます。 ーその信頼関係が、対バン相手を伏せた『MYSTERY TOUR』の成功にも繋がっていますよね。熊木さんは、ファンとの場所づくりについて意識していることはありますか? 熊木 みんなが色んな場所でチャレンジした後に、「ちょっとダンスしに行こうかな」って戻って来れる場所を作りたいという思いは年々大きくなってますね。今度、初のFCイベントを開催するんですけど、これからもっともっとみんなと一緒に活動を広げていきたいと思っています。昔は「全員、俺の音楽でぶちのめしてやろう」という気持ちでやってたんですけど(笑)。お客さんと一緒に踊り続けることでその考え方もだいぶ変わってきたというか。もっと愛で繋げていかないとダメだな、それがダンスミュージックの本質だなと思うので。だんだん恩返しのフェーズ、みんなと一緒に大きくなっていくフェーズに入っているという実感はありますね。まだまだ背負い切れてないとは思いますけれど。 GEN まさに、僕も昔はぶちのめしてやろうと思ってたんですけれど(笑)。今は、ひょっとしたら自分の活動が誰かの幸せになってるんじゃないかって考えるようになりましたし、逆に自分の幸福も自分だけじゃ成り立たなくて、誰かと共有してこそ初めて幸せになれるという感覚がありますね。他人にどういった影響を与えられるか、大人になってからはずっと考えてます。 ー本日の対談を通じて、ラッキリが主催するフェスのイメージがより具体的に浮かび上がったのではないでしょうか? 熊木 『YON FES』はじめ、アーティストが主催するフェスはそれぞれしっかりと愛をベースに作られているということを確認できた時間でしたね。先ほどGENさんがお話されていた地域のお店のことなんかも含めて、すべてをひっくるめた新たな文化を作ろうという気持ちで僕らもやりたいです。 GEN そういえば、僕が大学時代に使っていたリニモっていうローカル線があるんですけど、『YON FES』の日には増便してくれてるんですよ。しかも、車掌さんがアナウンスで『YON FES』について触れてくれてて。僕らが思っている以上に『YON FES』のことを考えてくれている人がいるんだなと思うと、感動しますね。 熊木 すごい、最高ですね。僕も、そんな風に愛してもらえる場所を作るのが目標です。 ー最後に、GENさんからラッキリ主催のフェスに期待することを教えてください。 GEN まず、メインスポンサーはコーヒー会社ですよね。そして、日本中のコーヒー豆農家が集まる。勝手なことを言いますけど(笑)。誰もが太古から持ってるダンスの感覚を目覚めさせるようなイベントをやってほしいです。 熊木 みんなのDNAに存在する、踊りたいという気持ちを呼び起こしたいですね。 GEN 個人的には、CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUINやOGRE YOU ASSHOLEを呼んでほしいな。DJにも出てほしい。DE DE MOUSEとか。妄想が膨らみますね。 熊木 もちろん、フォーリミにも出てほしいです。そうしないとクロスオーバーが進まないと思うんですよね。僕らが普段提示している踊り方でどうやってフォーリミの曲にノるのか、フォーリミのライブでダイブしてる人たちが僕らのライブを観たら何が起きるのかを知りたい。そうすることで初めて踊るっていうことを理解できるし、可能性が広がっていくんだと思います。 Lucky Kilimanjaro 『Soul Friendly』 配信中 「Lucky Kilimanjaro presents. TOUR “YAMAODORI 2024 to 2025”」 11/29(金)広島・CLUB QUATTRO 12/1(日)熊本・B.9 V1 12/20(金)札幌・Zepp Sapporo 12/22(日)仙台・SENDAI PIT 1/13(月・祝)大阪・Zepp Osaka Bayside 1/19(日) 福岡・Zepp Fukuoka 1/26(日) 名古屋・Zepp Nagoya 2/16(日)千葉・幕張メッセ国際展示場 4・5 ホール 04 Limited Sazabys New EP『MOON』 1/29発売 全国ツアー 04 Limited Sazabys「MOON tour 2025」
Masahiro Saito