Lucky Kilimanjaroの熊木幸丸とフォーリミGENが語る、「フェスづくり」への意欲
17歳がダンスミュージックを楽しめる場所を作りたい
ーちなみに、熊木さんの地元って? 熊木 僕は埼玉の越谷出身です。 GEN dustboxですね。 熊木 そうですね、越谷といえば(笑)。バンドは東京で結成して、それからずっと東京で活動してきました。 GEN フェスをやるとしたらどこでやるんですか? 熊木 どこでやろうかな……。 GEN 野外ですか? 屋内ですか? 熊木 野外の方が楽しそうだなとは思いますね。 GEN ですよね。個人的には、深夜でもいいんじゃないかなとか。 熊木 僕の場合は、ダンスミュージックを泣ける音楽として捉えてる人、自分の拠り所だと捉えてる人のための場所を作っていきたいっていう思いがあるんですよ。ロックミュージックが20年、30年かけて作ってきた場所が今あるように、普段クラブに行く人だけではなく、中高生なども含めた色んな人がダンスミュージックを拠り所として選べる場所を作っていきたい。17歳がダンスミュージックを楽しめる場所を作っていかなくてはいけないと思ってて。そういう意味では、屋内の方がクラブっぽいことはできるますど、野外の方が……。 GEN レイヴっぽい感じで。 熊木 そうですね。みんなが解放できる空間としての面白さはあるのかなと思ってます。 ー個人的には、深夜の幕張メッセをイメージしていました。 熊木 そうですね。僕もSONICMANIAとかelectraglideに行ってました。でも、僕がやりたいのは、もっと生活の延長で遊べるダンスミュージックで。なので、やるなら『YON FES』みたいに昼から……いや、どっちもやりたいな。昼も夜も通しでやりたい(笑)。 GEN 名古屋にTURTLE ISLANDっていうハードコアの先輩方がいて、『橋の下世界音楽祭』っていう野外フェスを豊田でやってるんですけど、それはもう完全に「日本のお祭り」っていう感じなんですよ。まさに地域の生活と根付いてるフェスで。ハードコアを含めて本当に色んなアーティストが出演しているんですけど、普段はそういう音楽に興味がないような人も自然に遊びに来てる。それがすごく面白くて。でっかい山車も出て、生活の中で不意に魂を解放できる。ラッキリにもオリエンタルな雰囲気やお祭りの要素があると思ってるので、盆踊り大会じゃないですけど、そういうムードのフェスをやってほしいですね。 熊木 確かに、お祭りをやりたいのかもしれないですね。僕自身、小さい時からお祭りが好きでしたし、越谷の花火大会の空気を再現したいのかもしれないです。子どもから大人まで、全員が踊ることを自然に選択できる場所としてのお祭りを。 GEN ハイセンスな音楽って、踊ることやその空間に行くことにも敷居の高さがあるじゃないですか。そういう緊張感がない、魂の解放場所を作ってほしいです。 熊木 そうですね。クラブやダンスミュージックのハードルを下げたいし、みんなの音楽なんだよっていうことを伝えたい。もっと言えば、別にロックだって踊れる音楽だと思いますし。今年の『YON FES』にも出演されていたYOUR SONG IS GOODがとても好きなんですけど、彼らのライブを観ていて、こういう空気をエレクトロミュージックで作りたいと思ったんです。もっとクロスオーバーを進めて、踊ることをみんなで主体的に楽しんでいく雰囲気を。 GEN 今年ユアソンに出てもらったのは、鳴ってる音に対して好きに踊ることを提示してほしかったからなんですよ。ロックフェスって、みんなで同じ動きをすることも多いですけど、僕はそれがずっと解せなくて。体全体で自由に反応すればいいと思うんですけど、(フロアを)仕切ってるやつとかいるじゃないですか(笑)。あれはロックがここまで定着したからこその弊害だと思う。初めて栃木のベリテンライブに出演した時にも、SPECIAL OTHERSのライブで子どもたちが自由に踊ってて、これが音楽の正しい形だなと感じて。「こうじゃなきゃいけない」っていうのはロックじゃないし、彼らのように人を楽しませたいですよね。 ーYOUR SONG IS GOODが出演した経緯も然りですが、『YON FES』はラインナップからメンバーのキュレーターとしての意識が感じられますよね。独自の視点やフックアップを欠かさないというか。 GEN あんまり固め過ぎたくないっていうか。パンクやロック系だけじゃ嫌ですね。よく自分自身のことを「パンクロック生まれサブカルチャー育ち」って形容してるんですけど、そんな僕ならではのバランス感っていうのはすごく意識してます。 熊木 確かに、○○系ってくっきりと分けたくはないですね。そうすることで、アーティストそれぞれが伝える言葉や音がボヤける気がして。だから、僕らのフェスはロックバンドも含めた全部をひっくるめてやりたいです。 ー血の通ったブッキングによって、凝り固まったシーンを解体することができるかもしれないですしね。 熊木 そうですね。自分たちの見てる視界や価値観を反映させたものを作っていきたいです。 GEN それに、シンプルに友達同士が仲良くなるのは嬉しいですからね。『YON FES』は、僕の友達を自慢する場所というか、自分の人生の豊かさを見せ付ける場所でもある(笑)。