【日本市況】円上昇、物価上振れリスクと日銀-総裁会見中に一段高
これを受けて円高が加速している。債券先物は夜間取引で、日経平均先物はシンガポールで売りが膨らんでいる。
為替
ドル・円相場は日銀会合の結果を受けて円が上昇。
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは円の上昇について、「日銀がハト派的ではないことを確認した上で、来週に米大統領選を控えてドルロングのポジションにいったん利益確定売りが出ているのではないか」との見方を示した。
日銀は展望リポートの消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)の上昇率見通しで、25年度を前回の2.1%から1.9%に下方修正した。同時に今後の政策展開を探る上で注目されたリスクバランスは、前回リポートで指摘した「上振れリスクの方が大きい」との表現を24年度はなくす一方、25年度は維持した。
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は展望リポートの内容について、経済・物価が「オントラック」に進んでいるとのメッセージに見えると指摘。「植田総裁が足元の円安を受けて発言のニュアンスを変えてくるのではないかとの警戒感が円の買い戻しにつながった」との見方を示した。
総裁会見中には一時1ドル=152円06銭まで円が上昇した。
株式
日銀会合を受けて株価は一時下げ幅を拡大した。TOPIX33業種では午後に自動車を含む輸送用機器指数の下げが加速した。円高を受けてトヨタ自動車やホンダが安く、日野自動車は一時7.5%超安と連日で大幅安になった。
日立製作所は今期(25年3月期)調整後営業利益予想を8750億円に引き上げたが、市場予想は下回り、一時10%超下落した。TOPIXを構成する2128銘柄のうち1550銘柄が上昇し、505銘柄が下落。
日立株が3カ月ぶり下落率、今期営業益計画引き上げも市場予想下回る
大和証券の坪井裕豪チーフストラテジストは、利上げは緩やかなペースとの方針は変わっていないことを踏まえると、株式市場は「現段階でこれ以上動けないと感じる」と話した。