下町ボブスレーをジャマイカが採用、決め手は町工場ならではの「対応力」
「下町ボブスレーで五輪では金を取る」
テストの結果、ジャマイカ側は下町ボブスレーの採用を決めた。選手からはそりの性能に高い評価が得られたほか、ジャマイカのボブスレー連盟会長であるクリス・ストークス氏は、「これ以上のソリはないと確信した。下町ボブスレーで五輪では金を取る」と宣言した。 委員会側の対応力も評価された。テストの際、滑走を終えたジャマイカの選手から改善要望が何度か出されることがあったが、委員会側はその都度ていねいに受け止め、対応に努めた。この姿勢を見たジャマイカ側は、下町ボブスレーとなら二人三脚でやっていける、と判断したという。 「中小企業で今までやっていたことが、まんま出たようにも思います」と笑う舟久保氏。顧客から難易度の高い要望が寄せられた時にも、応えられるよう精一杯努めてきた町工場の対応力が生きたとみている。 今後、委員会は、ジャマイカ選手の要望を反映した新型のソリを2016/2017年シーズンに向けて新たに開発、製作する。ソリの開発において、ジャマイカ連盟は選手の立場からアドバイスを行う予定で、新型ソリが完成したのちは、トレーニングや競技会参戦を重ねて、平昌五輪の出場権獲得を目指す。 「いろいろトライできるのは2016/2017年シーズンが最後。五輪出場がかかる2017/2018年シーズンが勝負になります。しっかりと要望をくみ取って、最高のパフォーマンスを発揮できるそりを製造したいですね」と舟久保氏。平昌五輪までは他の国に手を広げることなく、ジャマイカ代表チームに全力投球する方針だ。 一方、日本代表チームへの採用を完全に諦めたわけではない。舟久保氏は、「その夢は捨てていません。いつでも、最終的にはそうなればいいな、と思っています」として、平昌五輪以降、いつの日か採用される日が来ることを望んでいる。 (取材・文 具志堅浩二)