「全中」縮小…9競技取りやめ 相撲部員「寂しい」競技人口減少の懸念も スケート開催地の長野市は「残念」継続模索へ
全国中学校体育大会「全中」。このほど、日本中学校体育連盟はハンドボールや相撲、水泳などの9競技を2027年度から実施しないと発表した。「教員の負担軽減」や「少子化への対応」が大きな理由で、設置率が20%未満の部活動を選んだとしている。 廃止される競技の関係者は? スケート・スキーの開催地、長野市・野沢温泉村は? 受け止めなどを取材した。 【画像】「全中」9競技取りやめ 県内関係者は
■相撲盛んな木曽地域 部員「憧れの場所が…寂しい」
木曽町中学校相撲部。全中の個人戦覇者「中学横綱」を目指し稽古に励んでいる。 廃止の決定にー。 中学2年・千邑晃輝さん: 「(全中は)全ての中学生の相撲の憧れる場所。今、頑張る後輩たちが大会に出られなくて、寂しいなと思う」 中学2年・小川大空さん: 「相撲人口が減るので、なくなってほしくない」 1978年のやまびこ国体で会場となった木曽町は県内でも相撲が盛んな地域。 御嶽海も在籍した木曽町中相撲部。これまでに全中の団体で優勝1回、準優勝2回を誇る名門だ。 ただ、最近は部員数も減少。現在は8人いるが、このうち6人は他の部活と掛け持ち。 指導に当たるのは、相撲の県中体連専門委員長も務める上村裕一教諭(52)。競技人口がさらに減るのではと危惧している。 木曽町中学校相撲部監督・上村裕一教諭: 「全中に出て勝つことを目標にずっとやってきた。その目標がなくなるのは中学生の相撲競技自体の存亡にも関わる。本当にショックの一言」 相撲は日本相撲連盟が毎年、夏に都道府県対抗の大会も開催している。連盟は現段階で「新たな大会をつくる予定はないが、今ある大会を魅力あるものに充実させていきたい」とコメントしていて、全中の受け皿にしたい考えだ。
■長くスケート・スケートの開催地に 代替大会の模索へ
長野県内はスケート・スキーの開催地として長く競技を支えてきた。 長野市は2008年からスケートの開催地となっている。 長野市・荻原健司市長: 「大会が減るというのは残念なことだと思うので、競技団体と連携しながらできる限りのことはやっていきたい。その後の大会の継続についても協議していきたい」 日本スケート連盟は代替大会を模索。「今後、長野市と協議していきたい」とコメントしている。 スキー開催地の野沢温泉村 「代替大会、前向きに」 2029年度までスキーの開催地となっている野沢温泉村も「代替大会開催の要請があれば前向きに検討したい」としている。 今回の決定は「教員の負担軽減」が主な理由。県教委の武田育夫教育長も「競技力が落ちるという心配もあるが、部活は勝ち負けだけではない。廃止も一つの選択肢では」と話す。 県教委・武田育夫教育長: 「教員の負担だけでなく、子どもたちがスポーツ、その競技に親しんで、生涯その体を動かすことやスポーツの楽しさを味わっていくことになると、必ずしも全国大会が必要だということにならないかもしれない」 全中9競技の廃止…大会の意義、さらには中学校の部活の在り方も含め、議論が必要だ。
長野放送