「倒産です。給料は払えません」 突然の解雇通知を言い渡されました。泣き寝入りしなければいけないのでしょうか
会社が倒産し、まだ、受け取っていない給料がある場合、未払い賃金を得る方法のひとつに国(労働者健康安全機構)の「未払賃金立替払制度」があります。 ▼早めに転職が決まったら「受給できる手当」を確認しよう!
未払賃金立替払制度
未払賃金立替払制度は、労働者とその家族の生活の安定を図る国のセーフティーネットです。企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者(国籍、雇用形態等を問いません)に対して、その請求に基づき、未払賃金の一部を労働者健康安全機構が立替払する制度です。 令和5年度の立替払状況を見ると、企業数は2132件、支給者数は2万4300人、立替払額は86億2100万円、支給者1人当たりの平均立替払額は35.5万円となっています。 この制度が適用となる企業とは、労災保険(労働者災害補償保険)が適用された事業として1年以上にわたり事業活動をしてきた企業となります。
「倒産」とはどのような状況をいうのか
「倒産」は、法律上の倒産をいいます。中小企業の場合には事実上の倒産も対象になります。 立替払制度の対象となる中小企業事業主の範囲は、中小企業基本法に規定する中小企業者の範囲と同じです(図1参照)。
法律上の倒産は、 (1) 破産手続開始の決定(破産法) (2) 特別清算手続開始の命令(会社法) (3) 再生手続開始の決定(民事再生法) (4) 更生手続開始の決定(会社更生法) の場合をいいます。 一方、事実上の倒産(中小企業事業主のみ)は、事業活動において著しい支障が生じたことを原因に、労働者に対して賃金を払えない状態になったことについて、所轄労働基準監督署長が認定した場合をいいます(賃確法第7条、賃確令第2条第1項第4号)。 具体的には、事業活動が停止しており、再開の見込みがなく、賃金支払い能力がない状態になった場合をいいます(賃確則第8条)。
労働者の要件
立替払の対象となる退職は、破産手続開始等の申立(事実上の倒産の認定申請)の6ヶ月前の日から2年間に、退職破産手続開始等の申立(事実上の倒産の認定申請)の6ヶ月前の日から2年間の退職です。 破産手続開始の決定等(事実上の倒産の認定)の日の翌日から、2年以内に立替払請求をする必要があります。