朝鮮文化や抗日プロパガンダの歴史を紹介する「延辺博物館」 中国・延吉市
中国・延辺朝鮮族自治州吉林省延吉市の西部、まだ空き地だらけの新都市建設地区に「延辺博物館」がある。2012年、延辺朝鮮族自治州60周年を記念して創立された。巨大で立派な建物だが、訪れている人は少なかった。 朝鮮風宮殿のようなつくりのロビーを抜けると、延辺朝鮮族自治州周辺の古代から近現代までの歴史を紹介する展示がある。蝋人形で朝鮮族の民族文化、生活、風習などを再現したコーナーもあれば、抗日プロパガンダ史についても解説している。
ここはガイドなしで訪れた。ガイドが行きたくなさそうだったからだ。とくに抗日プロパガンダ史の展示を一緒に見たくないと言っていた。当時の抗日パルチザンが使っていた軽機関銃もあった。 当初「中国朝鮮族博物館」とう名前にしようと地元の人は考えていたが実現しなかったとガイドに聞いた。多分、政府は”朝鮮族”という文字が名前が付くのを避けたかったのかもしれない。言い方は悪いが、街には不釣り合いなほど立派過ぎるこの博物館はガイドも含め、地元朝鮮族にはあまり関係がなく、冷めた目で見ているのが実情なのだろう。 (写真・文:村田次郎) 撮影場所:中国 吉林省 延辺朝鮮族自治州 2013年6月 ※この記事は村田次郎氏の「【フォトジャーナル】北朝鮮が見える街 中国延辺朝鮮族自治州」の一部を抜粋したものです。