家庭用の電気マッサージ器で骨折も……増加傾向の事故、責任はどこに?
家庭用の電気マッサージ器を使って、骨折や内出血などの大けがをするケースが全国で相次いでいます。ストレスに満ちた現代、科学の力で体を癒してもらうはずが、逆に健康を損なうという皮肉な事態に、国民生活センターなどが注意を呼びかけ始めました。こうした家庭用マッサージ器による予期せぬ事故が起きた場合、その責任は一体どこにあるのでしょうか?
深刻なものでは「脊髄損傷」例
国民生活センターによると、電気マッサージ器でけがをしたという相談は、2010年4月~2015年12月の間、全国の消費生活センターなどに253件寄せられています。その内容は、「マッサージ器を買って3日目に圧迫骨折した」「フットマッサージ器で、太ももが内出血した」といったもので、最近は特に増加傾向にあるそうです。 家庭用電気マッサージ器とは、家庭用に設計された電動のマッサージ器のこと。多くのマッサージ器には、もみ機能のほか、空気圧で圧迫する機能、突起したローラーで圧迫する機能などがあります。 同センターのデータによると、電動マッサージ器の被害者は、女性が7割(176件)を占めます。また、被害者全体の6割(155件)が60歳以上の人だといいます。 けがの内容は、「体が痛い」「頭痛や吐き気がする」といったもののほか、圧迫による内出血やあざ、腫れ、皮膚がすりむけたなどの報告が目立ちます。重傷なものでは、「神経・脊髄の損傷」「骨折」があります。具体事例としては、「腕もみ機能で腕が腫れた」という70代男性や、「肩と胸の骨を骨折した」という80代女性などがいます。 こうした事故は家庭ばかりで起きているわけではありません。量販店などの店頭販売の現場や宿泊施設などでも発生しており、その件数は46件に上リます。これは発生場所が明らかな191件のうち、ほぼ4分の1を占めます。 実際に2014年4月に相談があった事例では、ベッド型マッサージ器を試していた60代女性が、痛みを感じて販売員に「マッサージ器を止めて」と頼んだにもかかわらず、聞き入れられませんでした。このため、背骨を痛め、直後からまっすぐ立てなくなり、寝返りも打てなくなったといいます。