家庭用の電気マッサージ器で骨折も……増加傾向の事故、責任はどこに?
潜在的な危険性が十分認識されず
どうして、このような事故が起きてしまうのでしょうか。同センターが消費者向けに行ったアンケートによると、多くの人が使い方をよく分からないままマッサージ器を使用している実態が浮き彫りになりました。さらには、使用してはいけない疾病などについて、説明を受けていないケースがかなり多いようです。「マッサージ器を使用して体調が悪くなった」と答えた人は、全体の1割に上りました。 一方、マッサージ器を販売するお店や事業者にも問題点がうかがえます。アンケートで「メーカーから安全な使い方について説明は受けていたが、使用してはならない疾病などの説明は受けていない」という回答もあったといい、マッサージ器の潜在的な危険性について、関係者の間であまり認識されていなかったようです。 では、どうしたら事故は防げるのでしょうか。同センターは、問題点として(1)安全な使い方が販売・体験時に消費者に十分提供されていない、(2)消費者も適正に使うために必要な情報に積極的には触れていない(3)中程度の刺激から運転が始まったり、挟み込まれたまま止まることもある(4)危ないと感じても停止が間に合わないーーーといった点を挙げます。
法的な観点でみるとどうなる?
こうした事故が起きてしまった場合、責任はどこにあるのでしょうか。メーカー、販売店のそれぞれの観点から、日本大通り法律事務所(横浜市)の喜多英博弁護士に聞きました。喜多弁護士は「製造物責任法でいう製造物の欠陥というのは、設計上、製造上の欠陥、指示・警告上の欠陥(取扱説明書の記載不備など)があると言われています。マッサージ器にもよりますが、設計上や製造過程で危険な物を作ってしまった場合には、メーカーが責任を負いますね。ですが、どんな物でも危険をゼロにするのは難しいので、三番目の指示警告というところが尽くされていれば良いということになっています」と指摘します。 では、家電量販店など販売店はどうなのでしょうか。「危険性を知りながら敢えて販売したというような特殊なケース以外には責任を負う可能性は低いのではないでしょうか」。 いずれにせよ、販売する側では今後、お客のために安全な使い方の説明を十分行うことがいっそう求められそうです。そして利用する本人としては、機器の操作方法を正しく知った上で、まず「弱」の強さから試すように心がけたいところです。メーカーでも、今後開発するマッサージ器は、いきなり強い刺激が発生しないような仕組みに改善していく必要がありそうです。 (記者・メディアコンサルタント/坂本宗之祐)