ドジャースは1年目の山本由伸をチーム全体でバックアップ 技術的&精神的にサポート
【大谷ドジャース世界一の舞台裏③】 大谷翔平投手(30)擁するドジャースが2020年以来、4年ぶり8度目のワールドシリーズ(WS)制覇を達成した。世界一の舞台裏には何があったのか。全5回連載の3回目は山本由伸投手(26)のメジャー1年目を振り返る。(大リーグ取材班) 【写真】大谷翔平に頭をなでられる山本由伸 山本がいなければ、ドジャースがWSを制覇できたか分からない。それほどメジャー1年目右腕の貢献度は高かった。確かにレギュラーシーズンでは、右肩腱板の負傷で6月中旬から約3カ月間離脱。しかしポストシーズン(PS)では、初先発したパドレスとの地区シリーズ第1戦こそ3回5失点したが、その後は好投。PSの4登板で結果的にチームはすべて勝利した。 「もう本当に最高。チームメートのみんなに感謝したいです。誰かが欠けていたら勝てなかった試合もたくさんあった。もう本当に全員で勝ち取った勝利だと思います」 シャンパンファイトでは、無邪気に喜びを語った。もつれた場合、WS第6戦の先発が予定されていたが、そんな重圧からも解放された。 WSまでの16試合で〝最重要試合〟は、パドレスとの地区シリーズ第5戦。負ければシーズン終了、勝てばリーグ優勝決定シリーズ進出が懸かる一戦だった。尊敬するダルビッシュ有投手(38)との投げ合いで5回2安打無失点。2-0で勝利に導き、WSへの道がつながった。 チーム全体で山本を技術的、そして精神的にサポートした。地区シリーズ第1戦後、ロバーツ監督は山本のフォームから癖が出ている懸念を示した。実際、その後のブルペンでの投球練習ではプライアー投手コーチがセットポジションで構えたグラブの高さをチェック。球種によって癖が出ていないか、フォームを見直した。周囲から「フォームは大丈夫だから思い切り投げればいい」との声に不安は消え、好投につなげた。 チームメートも山本のメンタルケアに努めた。第3戦前、E・ヘルナンデスは遠征先のサンディエゴに到着するとコーヒーショップに誘った。「キケ」の愛称でムードメーカーのヘルナンデスから「信じている。自信を持って投げればいい」と励まされ、迷いは消えた。第5戦の後、山本は「もちろん簡単には切り替えられなかったですけど、チームメートがたくさん声をかけてくれました。チームメートのおかげですね」と仲間に感謝した。 メジャーの投手史上最長&最高額となる12年総額3億2500万ドル(約465億円=合意当時の為替レート)でドジャース入団。超大型契約にふさわしい実力を大一番で発揮した。メジャー2年目の来季、故障離脱なくフルシーズンでの活躍がWS連覇には必要だ。