【タンス預金の時効】5年前に母からもらった「300万円」のタンス預金。時間も経っているので申告はいらない?
母親から現金などの財産を贈与された場合に、1年間で110万円を超えていれば、申告が必要です。贈与税の申告を忘れると、無申告加算税などのペナルティーを科されるおそれがあります。贈与税には時効もあり、時効が成立していれば、税務署から贈与税を課すことはできません。 しかし、不審なお金の動きは把握されてしまうため、実際に時効まで見つからずにいることは難しいといえるでしょう。 今回は、贈与税の発生条件や時効についてご紹介します。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
贈与税の発生条件
贈与税は、暦年課税の場合では、1年間で贈与税の基礎控除額110万円を超える贈与を受けた場合に発生する税金です。現金だけではなく、住宅や宝石などの財産すべてが贈与としてみなされるため、注意しましょう。 もし贈与税の対象となった場合は、贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日の間に申告をして、税金を支払う必要があります。母親から成人している子どもへ贈与した場合の贈与税の税率は、表1の通りです。 表1
※国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)贈与税の速算表 <特例贈与財産用>(特例税率)」を基に筆者作成 もし母親から300万円を受け取ったならば、基礎控除額110万円を差し引いた190万円に税率10%と控除額0円が適用されるため、贈与税は19万円になります。
贈与税に時効はある?
贈与税の対象となることを知らないまま、月日が経過するケースはゼロではありません。 相続税法第37条によると、贈与税の修正や申告は6年たてば時効が成立するため、税務署が贈与税を課すことはできなくなると考えられます。なお、意図的に贈与税を申告しなかったり、うその申告をしたりしたなどの悪質な場合は、時効が7年とされています。 しかし、現実的に考えても、時効まで待って贈与税を消失させることはかなり難しい方法です。 税務署は、不審なお金の動きをKSK(国税総合管理)システムで把握できるからです。 例えば、母親が現金で300万円を引き出して、直接子どもへ渡したとしましょう。税務署は、大きな金額が引き出されたにもかかわらず、母親が使っていないことから、お金の行き先を調べて、子どもに渡ったことを発見する可能性があります。 また、子どもがもらったお金を、宝石や住宅購入などに使うと、子どもの預金残高が変動していないのに大きな買い物をしたことから、お金の出どころを調べられる可能性も少なくありません。 贈与税の無申告は、無申告加算税などのペナルティーも課されるため、税金の対象になると判明した時点で、申告をしましょう。