427万円の価格で200台限定の抽選販売!『スカイラインGTSオーテックバージョン』を新車で購入してから35年間貫くクルマ愛
『オーテック・オーナーズ・グループ(AOG)湘南里帰りミーティング2023』。オーテックジャパンが手がけた車両に乗るオーナーが年に一度、集まるミーティングで筆者が取り上げる最後の車両は、R31型をベースに開発された『スカイライン2ドアスポーツクーペGTSオーテックバージョン』。スカイラインの父、桜井眞一郎氏が1986年10月にオーテックジャパン初代社長に就任し、初めて手がけたスカイラインのコンプリートモデルとして今尚、伝説のクルマだ。 【画像】スカイラインの生みの親が手がけた初のコンプリートカー。
R31型スカイラインに設定された「オーテックバージョン」とは?
本来なら日産自動車で『スカイラインの父』桜井眞一郎氏自身が開発主管として手がける最後のスカイラインとなるはずだった『R31』。しかし彼は病に倒れ、志半ばで伊藤修令氏に開発主管を引き継ぎ、1985年8月に4ドアハードトップ、4ドアセダン系を発売されるも、ハイソカーを意識した内外装や、熟成不足のエンジンとサスペンションも当初不評だった。 1986年1月にワゴン、5月には『2ドアスポーツ・クーペGTS』を追加。GTオートスポイラーを設定するなどスポーツ路線を打ち出した。1987年にはスカイライン(R31)シリーズ全体のマイナーチェンジを行ったほか、グループAホモロゲーションモデルである『スカイラインGTS-R』を限定800台で発売。これが即完売となるなど、スカイライン人気は徐々に回復してきていた。 1988年(昭和63年)8月22日に発売された『スカイラインGTSオーテックバージョン』はオーテックジャパンが得意とする少量生産、特装車生産技術を活かして開発された初のコンプリートカーとして発売された。しかも体調が回復してオーテックジャパン初代社長に就任していた桜井眞一郎氏が4年前、志半ばで離れたR31を自らチューニングしたという事実に桜井ファン、スカイラインファンは胸を熱くした。こだわりのチューニングは細部にまで及び、車両本体価格は427万円と高価だったにも関わらず、限定200台に対し購入希望者が殺到して抽選販売となった。 (オーディオレス車 427万円、GTS-X用純正オーディオ付車 436万円、アルパイン製高級オーディオ付車 457万円。) 1988年当時の自動車価格 スカイライン(R31)自体は149万4000円~264万4000円、GTS-Rは340万円という設定で、スカイラインが強く意識したハイソカーでは、マークIIが170万3000円~319万5000円、ソアラが237万2000円~489万6000円だった。 日産では同年発売の初代シーマが383万5000円~510万円。同時期のクラウンが168万4000円~501万2000円と、センチュリーやプレジデントを除く一般的な上級車種がグレードによっては500万円を超えてきた時代だ。 (編集部註) エンジンは直列6気筒DOHCインタークーラーターボのRB20DETをベースに最高出力210PS/400rpm、25.0kgm/2800rpm。『GTS-R』と同じレベルの最高出力までチューニンングしているが小型のスチール製タービン(ギャレット製T25/T3)と専用エキゾーストマニホールドとコンピュターコントロールユニットに変更するなどして、低回転域から高回転域までどこからでも有効トルクを発生する『大人のチューニング』が施されていた。 標準装着タイヤはR31初期型の発売当初からの4ドア系と同じ215/60R15 サイズのブリヂストンポテンザRE-88、ホイールは当時高価だった日本製のボルクレーシング3ピースアルミホイールは7J×15インチのワイドサイズでメッシュタイプを採用。軽量かつ高剛性であることを活かしてバネ下重量の軽減をはかっている。『2ドアスポーツクーペGTS』系で高評価だったタイヤ205/60R15、ホイール6J×15インチと異なるあたりに拘りを感じる。(『GTS-R』は205/60R15サイズのダンロップフォーミュラM2に6J×15インチのスチールホイールが標準。当時の広報車がよく履いていたBBS製アルミホイールはオプション設定。) 更にフロント&リヤストラットタワーバーを装着して、剛性をアップ。緩めに組まれた機械式LSDと専用サスペンション、8段階減衰力調整式ショックアブソーバーにによって、しなやかに路面を捉えるセッティングが施されていた。 筆者はショートサーキットで、ほぼノーマルの『スカイラインGTSオーテックバージョン』に乗って、腕の立つドライバーの操る『GTS-R』を追いかけたことがあるが、その走りは同等。ヘアピンコーナーの立ち上がりなどでは、素直でしなやかなサスペンションと低中速トルクに優るエンジンを持つ『GTSオーテックバージョン』の方が、『GTS-R』より速いくらいであったことに驚き、感銘を受けた。
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