【谷口ももよの“一日一薬膳”】 7日間で学ぶ短期集中・薬膳講座。 “赤い食材”は何に効く?
7日間で薬膳の基礎を学ぶ、短期集中連載「谷口ももよの“一日一薬膳”」。 年齢を重ねると起こる、さまざまな身体の変化と上手に向き合っていくためにも、自分の身体と対話しながら、ゆるく薬膳をはじめませんか? 薬膳知識のはじめの一歩を、薬膳料理研究家・谷口ももよ先生に教わりました。 【画像】更年期症状が辛い時に食べたい「トマトそうめん」
身体にとって大切なのは「肝」と「腎」
とても重要なことを「かんじんかなめ」と言いますよね。これ、漢字で「肝腎要/肝心要」と書くんです。「肝(肝臓)」も「腎(腎臓)」も身体で一番重要なところ、というのが語源だそうです。 女性は50歳前後で閉経を迎えると、ホルモンバランスが一気に崩れてしまいます。50代になった女性は肝臓と腎臓をしっかり補うことが元気でいる秘訣です。そのために食したいのが“赤いもの”。赤いものはとくに肝臓の働きを補ってくれるものが多いんです。それに対して黒い食材は主に腎臓の働きを補ってくれるんですね。
赤いものと黒いものが「肝」と「腎」を助ける
言うまでもなく、赤は血の色です。美容のためにも体内に血がふんだんにあること、血が巡っていることが大切です。血が足りていなくて貧血気味だと肌はカサカサ、髪もパサパサ、爪も割れやすく、何より元気がなさそうな顔つきになってしまいます。血が巡っていないと「瘀血(おけつ)」といって、血はドロドロの状態になっています。これ、生理痛の原因や、シミの発生にも関係してくるんですね。 また冷え性や疲れやすさも女性特有の悩みだと思いますが、大半がこの血流の悪さが原因です。血を作り、血を巡らせることを日々、心がけたいものです。
赤の食材、おすすめなのは……?
赤いおすすめ食材、ナンバー1は枸杞(くこ)の実です。世界三大美女と謳われた中国の楊貴妃や、現代ではファッションモデルたちがおやつ代わりに食べるスーパーフードとしても知られています。英名は「gojiberry(ゴジベリー)」。名前にピンとこなくても、杏仁豆腐の上にちょこんとのっている赤い実を見たことがありませんか? 枸杞の実は肝臓にも、腎臓にも効果があるといわれ、血や水など身体の体液すべてに作用し、潤いを高める効果も期待できます。肝臓は目にも関係するので、目が疲れやすい方はぜひ口にしてください。疲れ目のほか、ドライアイ、紫外線から目を守る効果もあります。 またビタミンも豊富なので紫外線による肌へのダメージを軽減できます。以前、NHK BSの健康系の番組に出演して、ダイエット向きの薬膳料理をお披露目したのですが、その番組の中で「枸杞の実は紫外線によるシミにも有効だ」という研究結果が報告されていました。それ以来、今まで以上に、私も枸杞の実を食べるようになったのは言うまでもないでしょう。 ただし、気をつけなければならないのは、その量。身体は同じものを沢山食べると体質が偏ってしまうので、食べすぎは禁物です。よい効能があるものほど、食べすぎてはいけません。薬は毒にもなるのです。一日大さじ1杯を目安に、週3、4日程度食べるのがいいでしょう。