「1万人の第九」初演200年の歳末、佐渡裕と松岡茉優が感じる意義
ベートーベンの「交響曲第9番」を1万人で合唱する師走の風物詩「サントリー1万人の第九」(毎日放送主催、サントリーホールディングス特別協賛)。12月1日に大阪城ホール(大阪市)である本番を前に、総監督・指揮を務める佐渡裕さん、司会の松岡茉優さんが11月21日、東京都内で取材に応じ、第九への思いを語った。 【画像】第九の意義を語る佐渡裕さん 1983年に始まり、今年で42回目となるコンサート。コロナ禍の影響で、動画の合唱とオーケストラが共演する年もあったが、昨年の公演で1万人の合唱団が「復活」した。 今年は、ウィーンでの第九初演から200年となる節目の年。ベルリンの壁崩壊後のドイツでは「歓喜(Freude)」という詞が「自由(Freiheit)」と歌われるなど、第九は時代によってさまざまな意味を与えられてきた。 佐渡さんは「1万人の第九」について、「この1年を振り返ると同時に、『来年がいい年でありますように』と初詣のように願う機会にもなっている。日本の第九のあり方として、いいものになってきたと思う」と語る。 能登半島で地震があり、ウクライナやパレスチナ・ガザ地区では戦争が今も続く。そんな年にも1万人が心を合わせて第九を奏でる。「ベートーベンはこの未来を予測していたのではないかと思う。世の中色々なことがあっても、それでも人は素晴らしいんだよと言ってくれる。そんなことを伝えられたら」 松岡さんは、取材の前に佐渡さんから「第九」の意味をじっくりと伝えられたという。「娯楽がまだ少なかった時代に、音楽にはストーリーがあって、音にも選んだ理由があると知ることで、第九がより身近になりました」 本番当日は、大阪城ホールでMBSの三ツ広政輝アナウンサーとともに司会を務める。「やっと現地で浴びることがかなう。数字にすると毎年『1万人』ですが、毎年違う方がそれぞれの人生を背負って歌う。今回しかない第九の魅力を、現地から伝えられるように頑張ります」と意気込んだ。 演奏は兵庫芸術文化センター管弦楽団など。会場チケットは販売終了しており、本番当日の12月1日午後4時55分から公式YouTube(https://www.youtube.com/channel/UC3vybeTSDBWoP6P6rmlYtqA)でライブ配信がある。公演の模様を伝える特別番組は、12月14日午後4時から、MBS・TBS系全国ネットで放送予定。(照井琢見)
朝日新聞社