民間プールを水泳授業に活用へ 浜松市、学校施設の老朽化受け検討
浜松市は、民間のプール施設を小中学校の水泳授業で活用する検討を始めた。小中学校のプールが老朽化する中、施設の更新や改修、維持管理などに多額の費用を要する一方で、授業の利用は年間1カ月ほどに限定されるためだ。学校施設の老朽化は全国的な課題で、プールの在り方について抜本的な見直しを迫られている。 市によると、市内でプールを整備している139小中学校のうち、耐用年数とされる築30年を経過しているのは72%に当たる100小中学校に上る。市は泳法の習得による身体能力の向上や、水難事故防止の心得を学ぶことができる水泳授業を今後も継続する方針だが、自校プールの維持には多額の予算と計画的な更新・修繕が必要になる。 水泳授業は毎年6~7月の約1カ月と短い上、屋外プールのため、近年は異常気象による猛暑や豪雨などで授業が中止になるなど、計画的な授業の実施に影響も出ていた。 一般校をモデルにした試算では、プールの更新・改修費や水道代など維持管理費などを勘案した際、民間プールを活用した方が年間100万~200万円程度のコスト削減になる。天候や季節に左右されない授業時間の確保やプールの管理など教職員の負担軽減といった効果も見込まれている。 一方、移動距離や必要機能など授業に適正な施設を確保できるかが今後の課題。現場の教職員からはプール管理の負担軽減を歓迎する半面、「移動で削られた授業時間はどう代替するのか」(30代男性小学校教諭)、「移動の際の点呼や安全確認が大変」(40代女性中学校教諭)など、不安の声も上がっている。 市は今月、民間委託を見据えた事業者向けアンケートを行っている。事業受託意思や実施可能な時間帯、費用、インストラクターの派遣可否などを調査し、早ければ一部で2026年度の開始も視野に入れる。 民間や公設のプールを水泳授業に活用する動きは、袋井市など県内でも進みつつある。浜松市教育施設課の担当者は「まずは事業者に受け入れてもらえるのか意向を把握する。民間プールの活用を前向きに考えていく」と語った。
静岡新聞社