数字と人情に弱い社長が会社をダメにする 『御社の寿命』著者インタビュー
数字と人情に弱い会社が会社をダメにする
── 会社をダメにする社長の特徴とは何ですか? 会社を潰しやすい社長の10のポイントということで本書で取り上げている。「5つの弱い」で、最初に取り上げたのが「数字に弱い社長」だ。信じられないかもしれないが、世の中に決算書が読めない社長が相当数いる。なぜ数字、決算書が読めないとダメになるかというと、会社がダメになるのは赤字が原因。会社がなぜ赤字なっているかは決算書でわかる。それが理解できないとなると赤字から黒字どうしたらいいか分からない。非常に基本的なところが弱い社長がいる。 もうひとつ「弱い」でとりあげたが、「人情に弱い」という社長が会社を潰しやすい。人情に弱いとなぜ会社をつぶすかというと、一つの理由がある。いま会社が倒産するかしないかの瀬戸際に立っている会社が30~40万社ある。共通点は借金の返済ができていない会社。借りた金が返せない状態の会社がそれくらいの数あるが、そういった企業は、ほとんどが銀行、金融機関が手を差し伸べている。 これをリスケジュールとか条件変更とか言っているが、銀行が最初に要求するのが黒字化だ。「会社の赤字を黒字にしてください」という要求をするが、ほとんどの経営者が「もっと売ります」「もっと売れる商品を作ります」という返事をする。ところが金融機関や銀行はそんな返事は待っていない。数年間赤字が続いている会社が黒字化するには、簡単にいうとリストラだ。「従業員を辞めさせてくれ」というのが銀行側の要求。 いま大手の家電メーカーが大きな赤字を作っている。まず最初にでてくる再建計画がリストラだ。数千人単位のリストラを大手企業はやってくる。ところが中小企業の人情に弱い社長は、なかなか人が切れない。どうしても営業力の強化に行ってしまう。結果的に赤字が解消しないということで、残念ながら、経営が続かず、人情味に弱い社長が会社を潰すという残念なことも起きているのが現状だ。 ---------- ◆藤森徹(ふじもり・とおる) 1963年生まれ。兵庫県出身。関西大学卒業。帝国データバンク情報統括部長。スポーツ用品メーカーを経て、1992年帝国データバンク入社。2006年福岡支店情報部長、2010年から現職