LIV移籍→欧州復帰→PGAツアー昇格? “前代未聞”のルートに現実味
◇メジャー最終戦◇全英オープン 3日目(20日)◇ロイヤルトゥルーンGC(スコットランド)◇7385 yd(パー71) 【画像】現地の熱気が伝わります 6月にドイツで開催されたDPワールドツアー(欧州ツアー)の「ヨーロピアンオープン」で初優勝を飾ったローリー・キャンター(イングランド)。昨季途中から欧州ツアーに復帰した34歳は、2022年のLIVゴルフ始動から加わった初期メンバーの一人でもあった。 23年は所属チームのないリザーブ(補欠)として11試合に出場し、ランキング44位。昨年12月に行われた今季の出場権を争う予選会(LIVゴルフ プロモーションズ)では香妻陣一朗、キーラン・ビンセント(ジンバブエ)と2枠を懸けたプレーオフに敗れた。 2月のマヤコバ、ラスベガスとLIV開幕から2試合に出場した後は欧州に“完全復帰”。6月には念願の初タイトルをつかんだ。カムバックして最も大きな変化について「朝が早いこと。ショットガンは良かったよ」と笑う。全選手が各ホールから一斉にスタートするショットガンを採用しているLIVでは3日間とも午後のティオフが当たり前だった。 今週の2日目、長いバーディパットを決めて滑り込みで予選通過したマックス・ホマの雄たけびを見て、「あれがビッグトーナメントの定番であるべき」と思ったそう。一方で予選カットのない3日間競技、チーム戦を並行して行うといったLIVのフォーマットにも「違ったエネルギーをもたらすもの」と肯定的。「どっちも好きで、どっちつかず」というスタンスを強調する。 6月の優勝によって新たな道が開ける可能性も出てきた。年間ポイントレース(レース・トゥ・ドバイ)で13位。現時点では来季PGAツアー出場権を獲得できる上位10人(有資格者を除く)に入っている。「いつかPGAツアーでプレーしてみたいと思っていた。後半戦はまだ長いけど、優勝したことによって僕の“ゴールポスト”は少し動いたんだ。目標ができたし、素晴らしいことだ」 ただ、問題はある。PGAツアーとLIVが電撃的な和解を発表してから1年以上が経過しても交渉はまとまっておらず、PGAツアーはLIVでプレーした選手の復帰についても道筋を示していない。米ゴルフウィークによると、キャンターのもとにはPGAツアーからメールが届いており、LIVでの直近の出場から1年間の出場停止扱いになるという。ツアーカードを獲得したとしても、来年2月中旬までは出場できないことになる。 「でも、DPワールドツアーに戻ってフルタイムでプレーできるのは素晴らしいこと。それができていることに感謝している。その点で、僕はラッキーな部類に入るし、残りのシーズンも頑張って、できるだけ上位でフィニッシュしたいね」。通算2オーバー15位と好位置で迎える全英最終日も、PGAツアー切符を引き寄せるための大事な18ホールだ。