いまトルコでお騒がせ中国人観光客が激増している…! 現地で何が起きているのか
なぜ日本人観光客が激減しているのか
では、各地で中国人旅行者が激増し、日本人旅行者が激減している理由はどこにあるのだろうか。 第一の理由が、中国で個人旅行がブームになっていることだ。 かつては、中国のパスポートでビザ無しで旅行できる国はとても少なかった。しかし現在では先に挙げたジョージアの例のように、中国人旅行者に対してビザ要件を緩和、もしくは撤廃する国も増えてきている。 海外個人旅行に対するハードルがぐっと下がったことと、中国国内の経済的発展にともなう中間層の増加で、中国人が海外を旅行しやすい状況となっているのだろう。 第二の理由が、日本人旅行者の旅行スタイルの多様化だ。 かつてはガイドブックに沿って町から町へと、有名どころをスタンプラリーのように制覇しながら忙しく移動するスタイルが主流だったのに対して、現在の日本人旅行者の旅のスタイルは多種多様だ。 山奥の村で数週間滞在したり、リモートワークをしながら各地に長期滞在したり、現地でアパートを借りて暮らすように旅してみたり……インターネットやSNSでの情報の充実によって、自分の好みの場所や滞在スタイルを見つけやすくなったのだろう。 こうして日本人旅行者がさまざまな場所に分散したため、定番の観光地や有名な町ばかりに日本人旅行者が集まるといった状況は、過去に比べて減ったように思える。相対的に、異国の地で日本人とばったり出会う機会が減少しているというわけだ。
中国人と日本人の気質の違い
第三の理由が、中国人と日本人の気質の違いだ。 多くの日本人にとって、海外旅行をする際の最大の障壁となるのが、言語の違いや文化の違い、そして治安に対する懸念だろう。 「言葉が通じない異国の地で何かあったら……」「現地の食事が合わなかったら……」「万が一犯罪に巻き込まれたら……」など、海外旅行に関する不安はつきものだし、それが理由で個人で海外を旅することを躊躇する人も多いのではないか。 しかし、中国人旅行者を見ていると、こうした日本人的な慎重さはあまり感じられない。 全く英語が話せなくとも翻訳機能を駆使してグイグイいく人が多いし、異国での移動や値段交渉に慣れていなくとも臆せずに旅する人も多い。 食事に関しては、日本人以上に自国料理に対する執着が強い人が多いように思えるが、宿のキッチンで中国風の料理を自炊する人がほとんどだ。(骨付き肉を長々と煮込んだりしてキッチンを占領するので、他の宿泊客から顰蹙をかうことも少なくないのだが……) ひとことで言うなら、中国人旅行者は「どこに居ようとも自分のやり方やスタイルを通す」人が、日本人旅行者に比べると圧倒的に多い。 我を通すということにはもちろん良い面ばかりではなく悪い面もあるだろう。しかし彼らの大胆さや「何とかしてしまう精神」が少し羨ましく思えることも、筆者にはあるのが本音だ。