アーバンシック大器が目覚めた テン乗りルメールで競馬ぶり一変、鮮やか末脚/セントライト記念
<セントライト記念>◇16日=中山◇G2◇芝2200メートル◇3歳◇出走14頭◇3着までに菊花賞優先出走権 いよいよ大器の覚醒だ。2番人気のアーバンシック(牡、武井)が中団から鋭く抜け出し重賞初制覇を成し遂げた。 勝ちタイムは2分11秒6。この日5勝と好調だった初コンビのルメール騎手に導かれ、鮮やかな末脚を繰り出した。次走は菊花賞(G1、芝3000メートル、10月20日=京都)を選択肢の1つとし、G1取りを狙う。2着コスモキュランダ、3着エコロヴァルツと春のクラシック組が上位を独占した。 ◇ ◇ ◇ パワフルなフットワークでアーバンシックが並ぶ間もなく突き抜けた。勝負どころでまくったコスモキュランダにいったん前に出られたが、直線入り口ではまだまだ射程圏内。ルメール騎手の右ステッキに反応すると坂下から豪脚発揮で先頭に躍り出た。テン乗りながらそつのないエスコートで勝利に導いた鞍上は「春にダービーに出た馬だし、絶対能力があると自信があった。今日は力があり余っていたので直線外に出すとすぐにギアアップした。すごくいい脚だった」と絶賛した。 潜在能力は折り紙付きでも、これまでは精神面の幼さがネックだった。調教で馬場入りをごねたり、折り合いや発馬の不安から大味な競馬が多かった。ただし、今回は競馬ぶりが一変。最内枠から中団で流れに乗り、最後はスムーズに外へ出されて抜け出す、王道のレース運びを見せた。それでも武井師はさらなる完成形を先に見据える。「はじめはわがままでひどかったけど精神面は着実に成長しています。それでも1年遅れてる感じで、(今も)2歳と3歳の間くらい。今日も抜けてフワフワしてたし、まともに走れればもっと離していた」。ポテンシャルは計り知れない。 次走は未定だが、権利を取った菊花賞を含めたG1取りに照準を定める。「暑さが得意ではないし毛づやもダービーに比べて落ちていた。状態が上がると思うし次はもっといいパフォーマンスを見せられると思う」。未完の大器がいよいよ覚醒ムード。秋のG1シリーズを盛り上げる。【井上力心】 ◆アーバンシック ▽父 スワーヴリチャード▽母 エッジースタイル(ハービンジャー)▽牡3▽馬主 (有)シルクレーシング▽調教師 武井亮(美浦)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 6戦3勝▽総獲得賞金 1億1922万8000円▽馬名の由来 洗練された。母名より連想。