個体数、過去10年で最少 7年ぶり4千匹台、3河川で大幅減 リュウキュウアユ24年調査 奄美大島
奄美リュウキュウアユ保全研究会(会長・四宮明彦鹿児島大学教授)は21日、鹿児島県奄美市住用総合支所で奄美大島のリュウキュウアユ数値検討会を開いた。今年11月の個体調査数の結果は4389匹で、前年比1万292匹の減。2015年以降の10年間で最少だったことが報告された。同会委員で鹿児島大学水産学部の久米元准教授は「今回の結果は過去30年の調査結果を見ても極めて少ない。保全をしていかないと、いついなくなってもおかしくない状況」と危機感を募らせた。 リュウキュウアユは奄美大島だけに天然の個体群が残り、環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠA類に分類される。個体数調査は鹿児島大学と琉球大学などが毎年実施しており、稚魚が海から川へ上る春(5月)と、繁殖期を迎えた成魚が川の下流に集まる秋(11月)に、親魚数を潜水して数える。 今年は5月14~16日に主な生息域である役勝、住用、川内、河内の主要4河川とその他8河川、11月10~12日に主要4河川とほか7河川で調査した。 11月調査の主要河川別確認数は、最も多い役勝川が2702匹と23年の2187匹を上回ったが、河内川818匹(同6711匹)、川内川433匹(同4039匹)、住用川217匹(同1480匹)の3河川はいずれも前年を下回った。 今年は5月に調査した遡上(そじょう)個体数も、過去10年間で2019年に次いで過去2番目に少ない4353匹と報告があった。久米准教授は遡上数の減少について、過去8年間の調査結果から稚魚の生息域周辺である住用湾で計測した12~4月の平均水温の高さを要因に挙げ、「今年は遡上数の減少や夏の暑さが、11月の産卵親魚が少なかった要因と考えられる」との見方を示した。 検討会ではこのほか、リュウキュウアユの餌となる海中内の動物プランクトン量など栄養環境、産卵場所の造成などについて意見交換した。久米准教授は「現在も産卵期に工事を止めたり、捕獲禁止を継続している。生息数の増減は数十年で考えないと分からないことが多々あり、人間にできることは今まで以上に注意して見守っていくことだ」と語った。