DVで別れた元夫は、4歳の娘をなぜ道連れにしたのか 面会交流中の殺人、悲劇を無視して進む「親権」議論の危うさ
面会交流には、公的な第三者による立ち会いや見守りのもとで実施する「エフピック」という仕組みもある。絵美さんも利用を検討したが、高額で無理だと思った。離婚して逃げた身であり、家計にゆとりがない。元夫にも相談してみたが「なんで監視されないといけないんだ。俺はそんなんじゃない」と逆上された。 どうすればよかったのか、何が正解だったのか、今も分からない。 ▽憎しみで奪われた娘、決めた「強く生きる」 事件から6年。絵美さんは「強く生きよう」と心に決めてきた。「私が落ち込んでいたら、両親も友達も心配してしまう。だけど、誰もそんなことは望んでいない。侑莉の分まで2倍、精いっぱい生きよう」。自分に言い聞かせてきた。 そう思うには理由がある。元夫が、絵美さんへの憎しみを理由に侑莉ちゃんを殺害したのなら、自分はそれに絶対に屈したくないからだ。 「あいつの一番大事なものを奪ってやろう、これで一生苦しむだろうと思ってやったのなら、私は絶対にそうはならない」
侑莉ちゃんが亡くなった今も、友人が花を贈ってくれる。たくさんの人から愛情を受け続けている。侑莉ちゃんが夢に出て来たことを友人に話すと「ちゃんとあなたの中で侑莉ちゃんは生きているね」と言ってくれる。 夢に出てくる侑莉ちゃんはいつも笑っていて、楽しそうだ。「ママに心配をかけないために笑ってくれてるのかな」 「侑莉まで連れていかず、一人で逝ってくれたらよかった」。何度、そう考えただろう。 元夫が生きていれば、どれだけ住む場所を変えても探し出され、おびえて生活していたかもしれない。さまざまな思いが巡る中、後になってこう思うようになった。 「侑莉が私を守ってくれたのかな。私や私の両親が安心して暮らせるように、侑莉が身代わりになってくれたのかもしれない。もし私が殺されていたら、侑莉はずっと寂しい想いをしただろう。4歳の子には耐えられないはず。『これが一番いい』と侑莉が私を守ってくれたのかもしれない」