DVで別れた元夫は、4歳の娘をなぜ道連れにしたのか 面会交流中の殺人、悲劇を無視して進む「親権」議論の危うさ
幼稚園の先生に「どうやったらこんな風に育つんですか?」と聞かれたこともあるほどだ。「3歳ながら、すごくいい子。私が愛情たっぷりに育てたからかな」 絵美さんは今も、侑莉ちゃんが亡くなった年齢と同じ3~4歳くらいの子を見ると、生前の姿を思い出す。外出先で「ママ」と呼ぶ声が聞こえると、自然と反応してしまう。 生きていれば今、10歳になる。 ▽消えない「なぜ」 絵美さんが面会交流に応じたのは「娘はパパが好きな状態で別れたから、会わせることが悪いとは思えなかった」からだ。 「離婚できてほっとした。顔色をうかがう生活ではなく、侑莉だけを守って暮らしていこうと思えた。でも、自分の気持ちじゃなくて侑莉の気持ちが一番。あの子が素直に笑顔で育ってほしかったからこそ、パパに対しても嫌なイメージを与えず育てたかった。だから、会いたいなら会わせてあげたいと思った。娘の気持ちを一番に考えての選択だったので、そこに関しては今も間違っていたとは思えない。だからこそぶつける場所もなく、余計に悔しくて、悲しい」
元夫は当時、仕事がなく、酒を浴びるように飲んでいたことを、後になって知った。 「当時それが分かっていれば、あのタイミングでは会わせていなかった」 一方でこうも思う。もし面会交流を拒否していたら「逆上して家に突撃したり、近隣で待ち伏せしたり、何かされた可能性があったと思う。会わせなかったら大丈夫だった、という話でもないと思う」。 元夫はなぜ、娘の命を奪ったのだろうか。今も疑問だ。 「計画的にその日に殺そうと思っていたのではないと思う。侑莉と遊んでいて、悲しさなのか私への憎しみなのか、何かは分からないけれど、何かの感情が一気に出たのか…」 真相は分からないが、絵美さんはこうも思う。 「私から大切な侑莉を奪うことで、私を支配し続けたかったのかもしれない。本当に娘に会いたくて面会交流を要求していたのではなく、私と連絡を取るツールだったのではないか。侑莉の名前を出せば私が応じると思ったのではないか」