最悪、白紙投票だとしても…「若者が選挙に行く」だけで「シルバー民主主義」打破に効果アリといえるワケ【経済評論家が助言】
白紙投票でも、投票に行かないよりはマシ
「自分は政治のことは詳しくないから、だれに投票したらいいかわからない」という若者も多いでしょう。しかし、それでも投票することに意味があります。なんとなくいまの政治で満足している人は与党(自民党か公明党)に、なんとなくいまの政治に不満がある人は野党(それ以外)に投票する、ということでよいと思います。 もう少し真面目に考えたい人は、10分でいいので各政党の公約を見比べてみましょう。どれも似たように見えるかもしれませんが、そのなかで気に入ったものを選んで、その政党に投票すればよいのです。もっとも、選挙区によっては立候補者が少なくて、気に入った政党の人が立候補していない可能性もありますから、先に立候補者の政党を確認すると無駄がないでしょう。 反対に、政治に関心がなく、いまの政治がなにをしているのか知らず、いまの政治に満足しているか満足していないかわからない人もいるでしょうが、そういう人も投票に行きましょう。10分だけ公約を見るのも面倒であれば、最悪白紙で投票しても、投票に行かないよりはマシです。政治家には、だれが白紙投票したかわからないので、「最近は若者も選挙で投票するようになった」ということしかわかりませんから。 真面目な人は、「自分のように政治を知らない人間が選挙で投票するのは失礼だ」などと考えるかもしれませんが、そんなことはありません。大人だって「だれかに頼まれたから投票した」「お祭りに参加してくれて、握手もしてくれたから投票した」という程度の人は多いのですから。
選挙の結果より「投票した事実」が重要
有権者は何万人もいるのだから、自分が投票しても、それで選挙結果が変わることはあり得ないでしょう。過去の選挙を見ても、1票差で当落が決まった例は非常に稀でしょうから。さらにいえば、与党支持者と野党支持者が相談して2人で棄権すれば、政権交代の可能性は変化しないので、問題ないようにも思えます。しかし、上記のように、そういうものではないのです。 実は、筆者も若い頃、失敗をしたことがあります。与党支持者2人と野党支持者2人で、終日マージャンを楽しんでいたのです。相手が投票に行かないことを確認し合っていたわけですね(笑)。 その結果、当然ながら選挙の結果には4人とも投票した場合と4人とも棄権した場合で差が出なかったので、当日は4人とも満足していました。ところが、いまになって考えれば、若者が4人も棄権したので、当時の政治家は「やはり若者の投票率は低いから、高齢者向けの政策を推進しよう」と考える動機を与えてしまったわけですね。 というわけで、若者にはぜひ選挙に行くように勧めるのが本稿の目的です。筆者はすでに高齢者なので、本来はシルバー民主主義大歓迎なのですが、長い間若者の教育に携わってきたので、つい若者のためになることをしてしまう悪い癖が出てしまったわけですね(笑)。 今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。 筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。 塚崎 公義 経済評論家
塚崎 公義