デジタル教科書、小5~中3英語に本格導入 習熟度に合わせた学びに期待 「頼りすぎない」工夫はなぜ必要? 手探りの学校現場を見た
県内の英語教員らでつくる県英語教育研究会の副会長を務める麻績村麻績小学校の伊藤尊夫校長は「授業のゴールに向け、どう生かすかは教員の考え次第」と指摘する。活用できる機能をどう取り入れるかなど、紙の教科書と同様に教材研究が必要だと見通す。
デジタル教科書を活用する上では、端末のトラブルへの対応も懸念される。文部科学省は通信環境の悪化などの備えとして当面、紙の教科書と併用する方針。ただ、同省の調査では「(画面)のフリーズやエラーで対処が必要になった」との回答が5割近くに上るなどトラブルの多さも課題として浮かぶ。
県教育委員会学びの改革支援課は、情報通信技術(ICT)を活用した授業の普及や指導に当たる「県ICT教育推進センター」で教員のニーズに応じた支援をしていると説明。「今後も研修などでデジタル教科書を活用した効果的な指導方法を共有したい」としている。
「『話す』を忘れず 長所と課題把握を」
〈長野県英語教育研究会会長・臼井伸明さん〉 デジタル教科書はネーティブの発音が繰り返し聞けて、視覚的に理解を助ける動画が視聴できるなど機能が充実しています。児童生徒が自分のペースに合わせた学習が可能となり、英語力の向上にもつながると考えています。
情報通信技術が普及し、いずれタブレット端末に全ての教科書が網羅され、それさえ持っていけばいい時代になるのではないでしょうか。デジタル化の進展は教員にとっても、授業の準備などの面で便利になったと思います。
ただ、英語は人とのコミュニケーションが重要。英語で「話す」ことを忘れてはいけません。今後はデジタル教科書の利便性を踏まえ、教員が最適な活用方法を考えることが大事になると思います。
今までの授業を変えるのではなく、デジタル教科書を取り込んでいくという視点も必要です。教員がデジタル教科書の良さと課題を把握して、その都度、工夫しながら活用してほしいです。