新NISAは義務ではないが…「投資をしない」という選択の“思わぬリスク”【CFPが解説】
投資は「一発勝負」より“コツコツ”が有利
少額から徐々にスタートし、「継続」を意識 投資を始めようと思ったら、すぐにでも株や投資信託を買いたくなるかもしれませんが、ちょっと待ってください。まずは次の言葉を思い出しましょう。 「急いてはことを仕損じる」 せせこましいことをせず、大きく投資をして大きく儲かる結果を期待したい気持ちは分かります。しかし、あせって大金をつぎ込んでしまうと、たとえ分散投資をしていても、大きな損失をこうむる危険性が高まってしまうのです。 ここでもうひとつ思い出していただきたいのが、新NISAは長期投資用のしくみであるということです。 長距離走の時に100メートル走のような全力スタートをしないのと同様、長期投資においては、「徐々に」スタートし、そのペースを維持していくことが大切なのです。そして、一定のペースを維持しながら投資する方法こそが、「積立」です。
数字で見る「積立」の効果
積立の効果は、数字にはっきりと表れます。[図表2]をご覧ください。これは、架空の投資信託に1年間で12万円分投資した2つのケースです。(1)が積立の場合、(2)が一発勝負の場合です。 1月の時点で1万円だった基準価額は、下落や上昇を繰り返し、12月時点では8,000円と低迷しています。そのため、一発勝負のケースでは2万4,000円もの評価損になっています。じつに20%もの値下がりです。単純に考えれば、このような状況で収益を得るのはかなり難しいと感じられます。 ところが、積立のケースでは、なんと3,000円以上の評価益となっています。大きな金額には見えないかもしれませんが、単純に利回りを計算すると2.8%になります。投資信託自体の運用は芳しくなかったにも関わらず、計算上、収益を得ることが可能であったことが分かります。
積立でプラスの評価益になったワケ
なぜ積立ではプラスの評価益になったのか。前ページの[図表2]をよ~く見れば、みなさんも想像がつくはずです。 同じ金額分だけ投資を続けた結果、基準価額が比較的低い時には多めの口数、高い時には少なめの口数を購入していることがわかります。さりげなく上手な買い物を続けていたことになっていました。だからこそ、積立ではプラスの評価益となったのです。 一発勝負の場合、「これから値上がりする」予想が当たれば儲けが大きくなりますが、外れてしまえば大きな損失を生んでしまいます。そのため、予想を「当てる」必要があります。 ところが、「積立」の場合は、そのような手間がありません。同じような金額を投資し続けていれば、勝手に上手な買い物をした形になるので、いちいち頭を捻る必要がないのです。 このような方法を「ドル・コスト平均法」と呼んでいますが、投資の基本として多くの人が活用している、もっとも簡単で賢い投資テクニックのひとつと言えます。 なお、つみたて投資枠では、購入方法が積立のみとなっています。一方で、成長投資枠では一発勝負も可能です。 一発勝負での投資を考えていた方は、あらためて積立の賢さを確認して、その投資方法を再検討しましょう。 小山 信康 CFP® 1級企業年金総合プランナー