『新紙幣』発行 ATMや駅の券売機は対応 自販機などで遅れも 券売機が頼りのラーメン店は悲鳴 新手の詐欺にご注意を!
■メンテナンス業者には注文が殺到
券売機の販売やメンテナンスを行う会社では、飲食店や銭湯、自治体などさまざまな顧客を抱えている。 -Q.券売機一台で、おいくら? エルコム大阪営業所 楠元優所長:1台買うと70万円ぐらい。高額紙幣対応だと100万円超。 いま、注文が殺到しているが、メーカー側の納品が追いついていないということだ。 エルコム大阪営業所 楠元優所長:例えば30台発注を入れても納品は10台。『残り20台は7月以降になります』とか、メーカーによっては『年末になります』と回答があって、お客さまに案内したら、『そらおかしいやろ!』みたいな話はあった。 取材中にも、近畿のとある自治体から問い合わせが。町の体育館の券売機が壊れたため、これを機に新紙幣に対応した機種に変えたいとのことだ。 納品が年末頃になることを知り、今後、どう対応するのか聞いてみると… 自治体担当者:のんびり構えすぎてしまいました。しばらくは旧札に両替することで対応します。
■銀行のATMや駅の券売機はおおむね対応済み 飲料の販売機は追いつかず
では、自動販売機やATMはどうだろうか。製造メーカーの業界団体によると、「銀行のATMや、鉄道の券売機は、新紙幣発行までにシステムの改修がおおむね終了する見通し」だということだ。 しかし、飲料の自動販売機は台数が多すぎることなどから、更新が追いつかず、新紙幣が使えないケースがあるという。新たな紙幣に社会が完全に対応するまでには、しばらく時間がかかりそうだ。
■新紙幣発行で「タンス預金をあぶりだす」
発行まで2カ月を切っているが、対応がまだ追いついていない現状だ。なぜこのタイミングで新紙幣を導入するのだろうか。 新紙幣の発行が決まった当時の麻生財務大臣は、「偽造抵抗力の強化、おおむね20年ごとに改刷してきた」と話していた。 しかし、実は“裏の目的”があるとの見方がある。 第一生命経済研究所の永濱エコノミストによると、「家に眠る“タンス預金”をあぶり出す」活用もあるということです。 「日本の家庭のタンス預金は、30兆~80兆円ともいわれており、旧紙幣から、新紙幣の交換の際に、一部が消費や投資に回ることで、経済の循環を後押しする狙いもあるのでは」と話す。もちろん新紙幣発行後も旧紙幣を使うことはできるが、財務省の思惑もあるのではないかという専門家の指摘があるのだ。 「newsランナー」番組コメンテーターでジャーナリストの鈴木哲夫さんは次のように話した。 ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:このような側面や目的もあるのではという分析だと思います。僕も正しいと思います。ただ、こういう狙いがあるという前提で言えば、なんでタンス預金してるんですかという話なんです。高齢者がタンス預金しているのはなぜかというと、まず1つは金利の問題があります。銀行に預けても、お金が増えないという時期がしばらくあって。それと貯金するっていうのは、やっぱり将来の不安です。結局、社会保障とか、年金とか、今、めちゃくちゃでしょ。『貯めとかなきゃ』と思って、みんな貯金しているので、それを紙幣を変えることであぶり出すのではなくて、社会保障とか安心なものを作って、(お金を)使ってくださいというのが本筋なのに、これが狙いだとすれば姑息ですよね。
■「これまでのお札は使えません」などの詐欺に注意
そして新紙幣発行の際には、詐欺に注意が必要だ。 関西テレビ 加藤さゆり報道デスク:新しい紙幣が発行されるタイミングは、詐欺グループにとって格好の機会になってしまいます。『これまでのお札は使えなくなります!新しいお札と交換するので、振り込んでください』などという、電話がかかってきたりすることもあるかもしれません。もちろん現行のお札は引き続き使えますので、くれぐれもだまされて振り込まないようにしてください。 新紙幣のタイミングを狙っている詐欺師もいる。十分にご注意を。 (関西テレビ「newsランナー」2024年5月22日放送)
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