指名漏れの裏側 高校生ドラフト候補の苦悩 育成でのプロ入りか進学か 夢の支配下登録は「狭き門」
今年も多くの有望高校球児が「ドラフト指名漏れ」としてネットニュースになりました。 【画像】押さえておきたい「2024ドラフトの目玉」たちを厳選! 注目選手のプレー写真&寸評を一挙紹介 10月24日のドラフト会議。今春のセンバツ大会や夏の地方大会、甲子園大会で名を馳せた強豪校のプロ注目選手にとっては、まさに「運命の日」。しかし、ドラフト会議の席上でその名が呼ばれたのはほんの一部です。多くのプロ志望届を提出した選手にとっては、ほろ苦い一日になったのです。 スポーツ紙のデスクは言います。 「我々メディアも反省しなきゃいけない点がある。スカウトが視察に行けば、その選手は『プロ注目』の冠がつくわけです。しかし、『視察に行く=指名する』ではもちろんない。むしろ視察に行った結果、『やめとこう』にもなるわけです。でも紙面でドーンと紹介されたら、本人は『こんなに注目されていれば、プロに行ける!』となりますよね……」 地に足がついた、自らの実力を客観視できる選手は東京六大学、東都大学リーグなど名門大学への推薦枠を勝ち取っていきます。大学側には枠の問題もあり、ドラフトの結果まで待てないケースも多いのです。そこで問題になってくるのは、育成でもプロに行くべきか、進学すべきかという究極の選択です。前述のデスクが続けます。 「本人的には『育成でもOK』と言う選手がほとんどです。千賀滉大に甲斐拓也と、育成からジャパニーズドリームをつかんだプロ野球選手は確かにいる。プロのユニホームに袖を通せるのは、うれしいことでしょう。でも、3ケタの背番号のまま、現役を退く選手が大半なのが現実です。せめて支配下で指名され、『退職金の前払い』とも言われる契約金を手にできればいい。しかし、そうでなければ入団後、支配下と育成の『格差社会』に悩み、苦しむことになります。育成で入るなら、進学してレベルアップした上で4年後、支配下での指名を勝ち取る方が得策とも思えます」 そのような事情を考慮し、調査書に「育成NG」と表明するプロ志望届提出者もいます。一方で、何としてもプロのユニホームを着たい、自分なら絶対、支配下に這い上がれると高校生たちが考えるのも、致し方ないところです。 「指名漏れ一覧の中には、『育成NG』だった選手が何人か含まれています。彼らは育成なら指名されたかもしれない。でも育成でのプロ入りが果たして幸せだったかどうかは、神のみぞ知るところです。一つだけ言えるのは、『支配下になって初めてプロ野球選手と言える。育成は真の意味でプロ野球選手とは言えない』ということです」(前述のデスク) 前途ある若者たちには、「狭き門」の突破を目指して、頑張ってほしいと願うばかりです。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]