メルカリ、不振の米国事業 復活の切り札は「日本から逆輸入のヴィンテージ」
アニメ以外にも意外な商品が人気に
好調な越境取引だが、米国では日本のどのような商品が売れているのか。 米国に限らず海外のメルカリ利用者に好評なのは、「クールジャパン」と総称される、漫画・アニメに関連する「推し活」系のグッズだ。メルカリ執行役員で越境取引事業を担当する迫俊亮氏は「新型コロナウイルス禍の影響もあり、ここ数年で米ネットフリックスに代表される動画配信サービスを通じて日本のコンテンツが翻訳され、海外でも気軽に楽しめるようになった影響は大きい」と話す。 一方、米国では意外なブランド品が売れているという。高級ブランドとして知られる「コーチ」のバッグなどだ。周知の通りコーチは米国ブランド。なぜ、わざわざ日本で出品されるコーチを買うのだろうか。 迫氏は、「どうやら米国ではヴィンテージブームが起きており、古い年代のコーチが流行しているようだ」と明かす。コーチは00年代に日本でブームとなったが、使わなくなって購入者の自宅の押し入れなどに眠ったままのバッグは多い。そうしたものがメルカリに出品されるのだが、現在の米国で買えない品番のものも多く、日本の中古品の質の高さや、円安もあいまって米国で人気になっているようだ。 実際に米国版メルカリのサイトにアクセスしてみた。 商品検索は出品元(米国または日本)を選んで検索することができるようになっており、日本で出品されたコーチのバッグなどが売れていることが確認できる。日本語の商品説明に関しては、人工知能(AI)によって英語に翻訳されているが、商品画像は日本のものをそのまま流用しており、日本語の記載も見られる。 一方で、商品画像の中に「OLD COACH」という英語の文字を記載している商品もあった。画像の中の文字は日本の出品者が記載しているので、越境取引を通じて海外の人の目に留まりやすくする「販促上の工夫」と考えられる。 迫氏は「商品説明や画像に英語を入れる出品者は多い。例えば、アニメ『鬼滅の刃』のグッズで、あえて英語名『Demon Slayer』を記載していた出品者もいた」と話す。日本の出品者が越境取引を通じた売却も想定しているということは、越境取引の拡大がおおむね好意的に受け入れられていることを示唆する。