下剋上を狙う車いすバスケ女子日本代表、得点力アップでパリへ!
■パリでの最初のヤマ場は予選リーグ第2戦のドイツ
さて、パラリンピックでは4チームずつ2グループに分かれて予選リーグが行われ、その順位によってクロスオーバーでの決勝トーナメントが行われる。6月14日には組み合わせ抽選会が行われ、日本は2018年以来、世界一の座に君臨しているオランダ、東京パラリンピックに続いて昨年の世界選手権でも銅メダルを獲得したアメリカ、いずれもアメリカと銅メダル争いをしたドイツと同じグループBに入った。前述の選手たちの言葉を借りれば、まさに「このままでは勝てない」強敵ばかりだ。 最大のポイントとなるのは、第2戦のドイツ戦だろう。4月の最終予選を見た限りでは、ドイツはこれまでと変わらず、ベテランのマライケ・ミラー(4.5)を柱とするチームだ。昨年の世界選手権まででミラーと遜色ない得点源となっていたハイポインターが現在は不在で、ミラー頼りの傾向がより強いと言える。とはいえミラー以外にもサイズの大きい選手が複数いることに加えて強豪揃いのヨーロッパでもまれ、実戦の数も日本以上と経験値の高さを考えれば、決して侮れない相手だ。 しかし、スピードで完全に上回る日本はディフェンスで主導権を握ることができるはずだ。いかにオフェンスの時間を削り、ゴールに近づけさせないか。インサイドではなく、アウトサイドの勝負に持ち込み、日本の土俵で戦いたい。そのうえで、やはりカギを握るのは日本のシュート成功率だ。 「いくらディフェンスが良くても得点を取れなければ勝てないのは当然。オフェンスで流れを引き寄せるくらいの展開にもっていければ、自ずと勝機は見えてくる」と岩野HCは語る。いずれも競り負けた東京パラリンピック、昨年の世界選手権のリベンジを果たすことができればチームは勢いに乗るはずだ。そして、このドイツ戦での勝敗が予選リーグ最終戦のアメリカ戦にもつながってくる。 「アメリカは得点能力が高いチームだけに、それこそ得点の奪い合いができればと思っています。スタイル的には日本と同じく高さ勝負ではないので、それこそガチンコ勝負になるんじゃないかと。日本がシュート力を発揮すれば、勝つチャンスはあると見ています」と岩野HCは語る。やはり勝敗を分けるのは、日本の得点。FG成功率を40%台にのせられるかが一つの指標となる。 現段階では実績からすれば、日本は出場8カ国の中で下から数えた方が早い位置にいる。その日本が狙うのは、下剋上でのメダル獲得だ。ドイツ戦で白星を挙げ、その余勢を駆ってアメリカとの勝負に臨むことができるかが、その道しるべとなる。 文・写真=斎藤寿子
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