旧優生保護法は憲法違反 熊本の原告2人と国が和解
テレビ熊本
旧優生保護法の下で不妊手術を強制されたとして熊本県内に住む2人が国に賠償を求めた裁判です。旧優生保護法を「憲法違反」とした最高裁判決を受け、熊本訴訟も和解しました。 【三角 恒 弁護団長】 「丸6年近くこういう形で裁判をやってきて、ようやく解決の場を迎えることができた」 旧優生保護法をめぐっては、障害などを理由に不妊手術を強制された人たちが国に賠償を求める裁判を起こし、最高裁はことし7月、「旧優生保護法は憲法に違反している」と判断。国に賠償を命じる判決を言い渡しました。 この判決を受け、政府と原告団はことし9月、和解の合意書を締結。 合意書では、原告の被害者本人に最大で1500万円を支払うとしています。 熊本では、今年2月に79歳で亡くなった渡邊 數美さんと70代の女性が不妊手術を強制されたとして裁判を起こしていました。 熊本地裁は、国に2200万円の損害賠償を命じる判決を言い渡したものの、その後、国が控訴。福岡高裁で控訴審が行われていましたが、ことし2月に渡邊さんが亡くなったため、遺族が裁判を引き継いでいました。 そしてきのう、福岡高裁で和解が成立。 国は9月に締結された合意書に基づき慰謝料1500万円を支払うことになります。 7日は、弁護団が会見を開き、6年以上にわたった裁判を振り返りました。 【原告の女性】 「今まで長かったが、弁護士の先生や支援者の方のおかげできょうまでこられて本当に良かった。私の一生の中で、神様が1日だけ願いをかなえてくれるなら、子どもや家族と普通に話をしたり普通に食事したりして団欒の時を過ごしたかった」 【三角 恒 弁護団長】 「『判決』ではなく『和解』という形だが、『和解』だと、足して2で割るようなイメージだが、今回の裁判はそういうことは全くなくて、むしろ判決を超える内容のものだと理解していいのではないか」 また、和解を見届けることができないまま、亡くなった渡邊さんへの思いを語りました。 【吉野 雄介 弁護士】 「〈渡辺さん自身がこの場に立って自分の思いを伝えることができたらどれだけ良かっただろう〉と改めて思った。こういう形で無事に和解という形で訴訟に決着がついたことは良かったとは思うが、それでもなお、心残り」 旧優生保護法をめぐっては、不妊手術を強制された人に1500万円を支払うなどする補償法が先月成立し、来年1月から施行されます。
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