【日本シリーズ2024】本拠地でまさかの3連敗 与田剛が指摘した「ソフトバンクの焦り」を感じた2つのシーン
── 2つ目のポイントはどこになりますか。 与田 4点リードされて迎えた7回裏の場面です。近藤健介選手が死球で出て、つづく今宮健太選手の内野ゴロで二塁に進み、さらに牧原大成選手の四球で一死一、二塁。ここで嶺井博希が打席に入ったのですが、DeNAのジャクソン投手は100球近くに達し、ボールがバラつき始めていました。気になったのは2球目、3球目の高めのボール球に手を出し、空振りとファウルで追い込まれてしまいました。嶺井選手の「打って流れを変えたい」という気持ちはわかりますが、明らかにボールが荒れていましたし、ジャクソン投手にとっては見られることのほうがしんどいんじゃないかという気がしました。(※結果は空振り三振) 仮に四球で満塁になったからといって、得点できるかどうかはわかりません。ただ、もし四球で満塁になっていたら交代していた可能性は高い。7回途中降板と、7回を投げきっての降板は、チームに勢いが出るという部分でまったく違います。第5戦に関しては、ソフトバンク打線に焦りを感じましたね。 【ソフトバンクは基本に立ち返ること】 ── この試合、ソフトバンクはスタメン捕手に甲斐拓也選手ではなく海野隆司選手を起用しました。 与田 先発の大関友久投手とシーズン中から組むことが多かったことと、流れを変えたいという意図があったのではないでしょうか。それが理由で起用することはすごく理解できます。ただ、連敗中ということもあってチームの雰囲気は重い。そのなかでスタメンマスクをかぶるのは、相当なプレッシャーになります。海野選手にとってはいい経験になったと思いますが、どこまで平常心でプレーできていたかどうか。 ── このシリーズ、甲斐選手が打てていなかたことも影響したのでしょうか。 与田 それもあったかもしれないですね。そこも含め、流れを変えたかったのかなと。ただディフェンス面を考えると、甲斐選手というのはゲーム中にいろいろなアドバイスができる捕手なんです。たとえば、相手に流れがいきそうだなと思ったら、間(ま)をとってリズムを変えるとか、「ここはストライクゾーンで勝負する場面だぞ」と伝えるとか、危険を察知する能力が高い。 大関投手の調子自体は悪くなったと思うのですが、先制されたくないという気持ちが強すぎて、コースを狙いすぎていた。海野選手にもその思いがあったのか、リズムを変えることなく最後まで苦しいリードになってしまいました。