物価高続く中「定額減税」の経済効果は? 専門家は「効率のよくない減税策」【WBS】
6月から実施される「定額減税」では、所得税と住民税あわせて1人当たり合計4万円が減税されることになります。物価高を受け、人々の節約志向が強まる中、今回の減税は消費を押し上げる起爆剤となるのでしょうか。現場を取材しました。 【動画】イオンで定額減税にちなんだセール 目玉は「4万円均一」 「定額減税のスタートに合わせ、3日からイオンでは4万円均一のセールが始まりました。例えばベッド本体、マットレス、枕のおよそ5万5000円のセットも4万円となっています」(田中瞳キャスター) 「緊急セール」と題し、3日からイオンで始まった4万円均一のセール。通常5万~6万円はする商品を定額減税の額にちなんで、税抜き4万円で販売します。およそ6万9000円のスティッククリーナーからIH炊飯ジャー、32V型テレビなどが最大4割引きとなります。 さらに、「こちらの5万5000円のランドセルも14日から4万円均一ということです。例年、お盆の時期によく売れるということですが、一足早くセールを始め、消費を喚起します」(田中キャスター)。 14日からはベビーカーや、ニンテンドースイッチ本体とソフトのセットなどの商品を追加投入し、消費を刺激したい考えです。 「2段階の構えで6月に買ってもらい、7月の大型セールでも買ってもらう。(売り上げは)昨年6月との比較で1割増を計画をしている」(「イオンリテール」営業企画本部の伊藤竜也本部長)
6月から実施される定額減税。1人当たり所得税3万円と住民税1万円の計4万円が減税され、納税者本人だけでなく、扶養している子供なども減税の対象となります。例えば4人家族の場合、世帯全体で16万円が減税されます。 街の人からは「家計に4万円はちょっと大きい。減税は良いことだと思う」(夫・子の3人家族)、「今は物価も上がっているのに1人4万円ではそんなに変わらないのでは」(独身)、「家計にとっては助かるが、いまさらかなというのが正直ある。(減税分を)積極的に使うことはない。普通に生活していれば消える金額なので、意識せずにただなくなっていくだけかな」(妻・子の4人家族)との声が上がります。 こうした中、首都圏を中心に展開する「東武ストア」。店頭の目立つ位置には、「これ得 !値下げ宣言」の文字がありました。 「毎月、その季節に合った商材を選び、値下げしている」(「東武ストア」日配食品部の高橋宏典部長) 食用油は通常よりもおよそ4割値下げし322円に。そのほか、6月は気温の上昇とともに売り上げが伸びる飲料といった食品や洗剤など256品目を最大4割値下げするキャンペーンを実施します。物価高の中、あえて値下げをする取り組みは去年8月から続けていますが、5月は値下げした商品の売り上げが1年前の1.5倍になるなど、消費者から好評を得ているといいます。 「客に喜んでもらっているから(値下げは)やめられない。年内いっぱいは継続したいと計画している」(「東武ストア」の高橋部長) 帝国データバンクの調べでは、6月から食品614品目が値上げされ、「ペヤングソースやきそば」の価格が5年ぶりに1割ほど上昇したほか、カルビーなども主力のスナック菓子を値上げ。さらに電気代も政府の補助金が終了することから、6月の使用分から346~616円値上げとなります。 物価の上昇が続く中、実施される今回の定額減税。その効果はどれくらいあるのでしょうか? 「1年間のGDPへの影響でいうと0.19%と試算。過去の定額減税などでいうと約4分の1が消費に回り、残り4分の3ぐらいは貯蓄に回ったとの分析がある。おそらく今回も一時的な減税であり、給付なので、景気浮揚効果として見たときには小さい。効率のよくない減税策になるのでは」(「野村総合研究所」エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏) ※ワールドビジネスサテライト