ストレスを感じると食べ方が変わる 滋賀医科大、マウスで実証
さらに、ストレスを受けたマウスは同じエサが均等な距離で置かれているにもかかわらず、4カ所のうち1カ所にこだわってエサを食べることが観察できた。通常のマウスは4カ所の餌場を同じ頻度で食べ、1カ所にこだわることはなかった。これらの様子を撮影したビデオを詳しく分析すると、ストレスを受けたマウスの方が咀嚼している時間も長かった。ただし、過度のストレスを与えないように観察時の介入を極力減らしたため、咀嚼時間が長くなったのは、一度に食べる量が多いからか、よく噛んで食べているためなのかは分からなかったという。
藤岡助教はこれらの結果を踏まえ、今後はヒトでのストレスや疾患と食事の摂り方の関係について研究を続けるという。「今回のマウスのように、ヒトもストレスを受けた場合に、例えば一つの皿に固執して食べたり、食べる順序が長年の習慣と異なったりすることが分かると良いと思う。例えば、小型のセンサーでその人の食べ方のくせをAIで覚えさせ、通常と異なるパターンが検出されるとアラートで知らせるような端末が開発できれば、ストレスの可視化や、脳神経に関わる病気の早期発見につながるのではないか」とした。
成果はスイスの科学誌「フロンティアズ イン ニューロサイエンス」に5月9日に掲載され、同月20日に滋賀医科大学が発表した。