なぜ世界は「マツダの赤」に恋するのか? 匠の技術が創るプレミアム感を再考する
カナダの評価
一方、カナダの『ザ・カー・ガイド』は、 「ほぼトレードマークとなっている有名なクリスタルレッドメタリック塗装(ソウルレッド系)については警告しておかなければなりません」 と穏やかでない。 「数週間乗っただけで耐久性が不足していることに失望したオーナーもいる」 「簡単なオンライン検索でこの問題を確認できる。さまざまなディスカッション・フォーラムでは、自分の選択を後悔している所有者は珍しくない」 塗装が非常に薄いため、日光を十分に吸収せず、簡単に剥がれたり欠けたりすると説明。特殊な塗りのため修理もほかに比べて複雑という。 「良いニュースとしては、これは2017-2018年モデルにのみ影響するようで、消費者からの苦情が2019年以降大幅に減少」 「中古で買う場合は、フロント部分に透明な保護フィルムを貼るのが要検討」 と締めくくる(2022年2月3日付)。
アイルランドの評価
そんな批判もありつつも、やはりマツダの赤の人気は高い。 アイルランドのメディア『コンプリート・カー・アイイー』は、 「過去10年間、マツダ車を購入する際、平均して33%の顧客がソウルレッドまたはソウルレッドクリスタルを選んだ」 さらに、 「チェコ共和国では、マツダ車の45%が赤で販売されるという記録を打ち立てた」 「ルーマニアとスロバキアが40%。アイルランドでは、顧客の27%強がソウルレッドを選んだ」 と、マツダの赤がいかに憧れられ、支持されているのか、驚異的な数字で知らせている(2024年3月1日付)。
高級系、白・黒・灰・青が主役
世界的に見て、赤はどれだけ人気なのだろうか。BMWのカラー&マテリアルデザイン責任者、アネット・バウマイスター氏は、 「色は車のキャラクターに影響を与える」 と指摘しつつ、 「ホワイトは依然として世界ナンバーワンであり、シルバー、レッド、ブラックがそれに続くが、グリーンとブルーへのムーブがありました」 と話す。 「数年前、突然、ホワイトブームが起こりました。それは現代的で純粋なアプローチでした」 「今は、グレーがかった単色が多くなっています。グリーンとブルーについては、光の当たり方によって見え方が異なり、より洗練されています」 高級車についてはどうか。高級車のディーラーを長年務めるマーティン・ローラー氏は、 「中核となる高級カラーがある」 としつつ、 「ここ数年で私たちが気づいたのは、ラグジュアリーマーケットには四つの中心となる色があるということです。それはホワイト、ブラック、グレー、そしてブルーの色合いです」(2023年10月7日付、豪『CarExpert』) 世界的に見ても、赤が人気なのは間違いない。しかし、高級感があるとされる4色のなかには赤は含まれていない。 皆さんは、これらの意見についてどう考えるだろうか。
鳴海汐(国際比較ライター)