電車で乗り過ごしたら、「不正乗車」になるって本当? 罰金は請求される?
電車でつい居眠りして乗り過ごしてしまったことがある人は少なくないでしょう。大抵の場合、居眠りによる乗り過ごしは意図的に行うわけではありませんが、電車の乗り越し自体に問題はないのか気になる人もいるかもしれません。 そこで今回は、乗り越しについての法律や規則について解説します。また、乗り過ごしてしまった場合の正しい対処方法や違法となるケースや罰則についても説明します。 ▼新幹線で1人で「2席分」の購入はNGなの? 規則を確認
電車の「不正使用」に注意
寝過ごして電車を降りそびれてしまうことを「乗り越し」と呼びますが、乗り越したときに何もいわずに反対方向の電車へ乗り換えて戻っていませんか。戻り路線に乗り換えて乗車することは「折り返し乗車」と呼ばれ、そのまま何も申告せずに改札を出てしまうと「不正乗車」になる可能性があります。 例えば東日本旅客鉄道株式会社の旅客連絡運輸規則の第42条には「旅客運賃・料金は、旅客の実際乗車船する経路及び発着の順序によって計算する」と定められており、折り返し乗車した分の乗車券が必要になるからです。 不正乗車が発覚した場合、旅客営業規則により「乗車駅からの区間に対する普通旅客運賃と、その2倍に相当する額の増運賃とをあわせ収受する」と定められています。 なお、もしSuicaなどのICカードを利用して乗車した場合「チャージ残額および預り金(デポジット)を含めて無効とし、所定の運賃・増運賃(きっぷの運賃)」を徴収される可能性があります。
乗り越しに気が付いたらどうする?
乗り越しに気が付いたら、乗務員や駅の係員に伝えましょう。寝過ごしたことが乗務員や駅の係員に認められた場合、料金を徴収されずに目的地まで戻る措置を講じてくれる可能性があります。
不正乗車で問われる犯罪
実際に乗車した区間をごまかして改札を通過した場合、鉄道営業法第二十九条の違反となり、「50円以下の罰金または科料」に処される可能性がます。50円は極めて安く、罰金としての実効性に疑問を持つ人もいるでしょう。 実はこの法律は明治33年に制定されたため、実際には罰金等臨時特措法第二条の規定によって「2万円以下の罰金または科料」に処される可能性があります。 また、実際の乗車区間をごまかして改札を通り抜ける行為として、刑法第二百四十六条の詐欺罪が成立する可能性があります。成立した場合は「10年以下の懲役」に処されるため、軽い気持ちで行うのは危険です。 不正乗車によって運賃に見合わない駅構内に入場するなど「正当な理由がなくて入った者」として軽犯罪法の第三十二号では「拘留または科料」、刑法第百三十条の住居侵入等では「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」に処される可能性があります。