”教授”と共演の高野寛(三島出身) 新作でYMO追慕
三島市出身のシンガー・ソングライター高野寛がデビュー35周年記念アルバム「Modern Vintage Future」、音楽キャリアを振り返る著書「続く、イエローマジック」(mille books)を発表した。メンバー2人が相次いで亡くなったYMOへの憧れと愛情がにじむ両作品の制作の過程を聞いた。 エレクトロサウンドに彩られたアルバムは、新型コロナ禍の「ステイホーム」期に少しずつ録[と]りためた11曲を収録。CDのボーナストラック4曲はアンビエント音楽の雰囲気が漂う。 「ライブができず途方に暮れていた時期。自分を落ち着けるために曲を作っていた面もありました。テクノ的なアプローチにトライしているうちに、かつて聴いていたものが自然に音として出てくるようになったんです」 共作、共演経験があるYMOの高橋幸宏、坂本龍一が2023年に死去した。 「2人が療養に入ってからは、(制作する楽曲に)YMOへのオマージュが増えていった。完成後に聴き返すとYMO的なボキャブラリーがいっぱい入っていました」 1988年のデビューアルバムのプロデューサーだった高橋への思いは格別だ。 「(高橋)幸宏さんは『シンガー・ソングライター高野寛』のひな型を作った人。大学生の頃のデモテープにはいろいろな音楽性の曲が混じっていて、半分はインスト。その中から幸宏さんがチョイスした曲がファーストアルバムになった。幸宏さんの後押しがなかったら、歌うことに積極的でなかった自分の音楽活動は全然違ったものになっていたと思います」 著書「続く、イエローマジック」にもYMOの各メンバーとのエピソードがふんだんに出てくる。 「YMOは音楽人生の中で欠かすことができない。書くことで一度それを客観的に見るのもいいかなと。思っていた以上に影響を受けていることを再認識しましたね」 中学3年時に、当時住んでいた浜松市内のレコード店で買ったYMOのアルバム「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」の衝撃を今も忘れていない。 「ほとんどの音が記憶に染みついちゃっています」
静岡新聞社