大分県に移り住んだ先輩に聞く(2) 移住でウェルビーイング「移住とはコミュニティの中でその想いを受け継ぐこと」
移住をして感じたギャップ
1年の移住生活の中で、困ったことというのは特にはないそうだが、決して問題がないということでもなく。 休場:建物自体はそれなりに古いですから、傷みも結構あります。そのあたりも信頼を寄せているまちづくり推進課の方がいろいろと手を差し伸べてくれています。現実的に違ったなぁというと、田舎の方がお金がかからなそうなイメージがあったんです。ところが電気、水道に加え、どうしても車を使うことが必要になってくるのでガソリン代。灯油も必要になってきます。でも家賃は安い!食材も安くて美味しい!これからの工夫でしょうね。 それでも休場さんは前向きに暮らしを楽しもうと考える。 休場:その一方で、ライフラインを他者に任せなくて済むように心がけることができるのかもと思っています。一部分を自給自足にするとか。自然エネルギーなどでの発電とか、薪を使うとか、湧水を活用するとか。いざという時のために生きる力を付けられれば、強くなれるという思いもありますね。 移住生活について想うことを伺ってみると…… 休場:地域の方々と交流をしたい、地域に入っていこうという想いが私は強いんです。東京での暮らしではほぼ見られなくなってしまった在所共同体というコミュニティの一員にきちんとなりたいと思っています。神社のお掃除、春や秋のお祭り、水路の掃除など必ず参加していますよ。ただ、そうして様々な活動に参加させてもらう中で、みなさんからいろいろと話しかけていただけるんですけど、半分ぐらい何を話されているのかわからないんです(笑)。せっかく話しかけていただけているのに……話が続かなくなってしまって。そんな時は「しまったぁ」……と。こういうことは想像してなかったですよね。でも方言的なものがわからなかったのは最初だけで最近はかなりわかっきて話が弾むようになりました。
研究者として、そして地域の一員としての挑戦
カエルの研究の場としても最高の環境にいると考えているそうで…… 休場:今は家のことに時間を取られることが多く、なかなか研究に注力ができていないのですが、ライフワークであるカエルの保全については、やろうとするなら環境としては良い場所だと思います。例えば、カエルにやさしい稲作、農耕ってなんだろうとか。カエルにとって環境が良くなるだけではなく、人間とカエルが共に恵まれた環境であることがベストなんです。私は研究者ではありますけど、その研究の結果を現場で実践する側の人になりたいと。それがここならできると思っています。 移住の先輩を師に、この秋から狩猟メンバーにもなるそう。 休場:この集落に大分市から来られた移住の先輩がいるんです。定年を迎えて移住されてきたそうです。農耕をされていますが、獣害に悩まれていました。日本国中、どこの里山も獣害がひどくなっていて、畑が荒らされてしまうということで、狩猟免許を取得し罠を仕掛け、猪などを捕獲しています。私もこれからのことを考えつつ、やってみようかと。これも新たな挑戦ですが、里山の自然保護につながっていくものと思っています。