穏やかで豊かな老後生活を送ることはできる?資産運用しない高齢者を待ち受ける悲惨な未来
言い換えれば、資産運用しない高齢者世代は、よほどの資産家は別だが、じり貧になっていく可能性が高いということだ。少なくとも、保有している資金を株式や投資信託などに投資して、自分の資産を守ることで、自分の老後の生活水準を守るしかないということだ。 ■積み立てを続けることで資産を防衛する? では、具体的にどうすればいいのか。資産運用の知識はちょっと勉強したぐらいで簡単に身に付くものではない。金融マーケットには魔物が住むと言われており、とりわけ現在のような瞬時に情報が世界中に駆け回る環境では、そう簡単に運用で利益を出すことはできない。いまや、相手はAI(人工知能)の時代だ。
理想的なのは、運用をプロに任せることだが、それにはある程度まとまった資金が必要かもしれない。ただ、最近ではロボットに運用させる運用機関もある。少ない金額で、市場に参加できる。 いずれにしても、大切なことは長い時間をかけて、ゆっくりと資産運用のノウハウを身に付けていくことだ。そのためには、例えば月額1万円でもいいから、株式や金などに投資する投資信託やETF(上場投資信託)を積み立てていくことで、資産運用の概要を知ることだ。一気に扉を開けるのではなく、少しずつ広げていく。
高齢者であってもつみたてNISAを活用するのも、ひとつの方法だろう。いま注目されている、アメリカの「S&P500連動型ETF」や世界中の株価に分散投資する「オールカントリー」といった投資信託で、つみたてNISAを活用するのもひとつの方法だ。「純金」を積み立てていくのもいいかもしれない。若者と違って大きな失敗は許されないから、ギリギリ失敗しても仕方がない範囲でスタートさせるべきだ。長い老後の生活では、資産運用の知識やノウハウが必ず役に立つはずだ。
岩崎 博充 :経済ジャーナリスト