ダンスは違いを超えて他者とつながるツール。誰もが自分の可能性を信じられる世界へ #豊かな未来を創る人
── 練習を進めていく中で、どんな気づきがありましたか。 練習に参加したときに、最初に感じたこと。それは、体型や性格、ファッション、生まれ育った環境、みんな当然違うわけですが、ダンスを介すると、やはり互いに踊る喜びを分かち合える存在になれるということです。 メンバーの中には、これまで障害の有無でカテゴライズされた経験のある子たちもいると思います。それでもダンスはそうしたすべての枠組みを取っ払って、想いを一つにしてくれた。 私自身、このプロジェクトに初めて参加するにあたって、個性の違うメンバーたちを前に、どんな風に教えれば良いか手探りだった部分もありました。でもみんなのダンスを見たら、迷いは消えましたね。それぞれの違いを存分に活かしながら、踊ることの純粋な楽しさを観ている人にも届けられるよう取り組みたいです。 今はまだ練習が始まったばかりで楽しいことばかりですが、ここからは少し困難をみんなで経験しても良いんじゃないかとも考えています(笑)。例えば何か壁にぶち当たって、話し合いながら試行錯誤してみるとか。やっぱり壁を乗り越えた先に、新しい景色が待っていることも知ってもらえたらなと。
── 「努力すれば、夢は叶う」。その体験を次の世代にも手渡していきたいと。 はい。ダンスを通して、挑戦や失敗、成功の体験を積んでいくことで、すべての個性を持つ人たちに価値や可能性があることを、一人ひとりが信じられる世界にしていけたらうれしいです。私がダンスから教わったように、みんなにもそれを伝えていきたいです。 ── 最後に、これから挑戦してみたいことを教えてください。 引き続き、「ダンサーの社会的地位を向上させる」という大きな目標に向かって歩いていくつもりです。これまで、ダンサーの可能性を模索するために、ジャズの殿堂であるコットンクラブでの単独公演や、教育や公共の場でのワークショップ、SNS発信など、あらゆる試みをしてきました。この先も自分のダンスの実力をさらに圧倒的にレベルアップさせながら、さまざまな分野を横断して挑戦していきたいです。 以前は、ダンサーなのにダンス以外の活動をするなんて...と言われることもありました。でも、これまで固定化されてきた枠組みを超えていくことにこそ、意味があると思っています。不可能だと言われていることに取り組む姿を通して、ダンスをする人にもそうでない人にも、小さくても前に進むきっかけを届けられたらうれしいです。