ダンスは違いを超えて他者とつながるツール。誰もが自分の可能性を信じられる世界へ #豊かな未来を創る人
初めて感じたダンスを通した"つながり"
── 幼い頃からダンスを続けてこられました。ダンサーとしての道を極めようと考えるようになったきっかけを教えてください。 もともとダンスを始めたのは8歳のときでした。地元のお祭りの舞台で、同世代の子たちが踊っているのを観たんです。自分もやってみたくて、近所のダンス教室に通ったのが最初でした。その後、本格的なダンススタジオに入って練習に励み、徐々にコンテストやバトルに出られるようになっていきました。 でも、本当の意味でダンスの魅力に気づいたのは、高校1年生のときでした。当時の師匠がチェコで開催されたダンスバトルに連れて行ってくれたんです。そこで世界というものを初めて体感しました。 ダンサーたちのレベルの高さ、会場の盛り上がり、すべてが新鮮でした。そして自分の出番がやって来てパフォーマンスをしてみると、オーディエンスから、ものすごく大きな歓声が返ってきたんです。日本とはまったく違う反応に、衝撃を受けました。 踊れる踊れないとか、人からどう見られるかとか、そういうことに縛られている人は誰もいなくて。そこにいるみんなが、ダンスそのものを自由に思いっきり楽しんでいる。そんな空間に身を置くことで、「ダンスってこんなに楽しいんだ」と心の底から体感したんです。英語ができなくても、みんなが話しかけてきてくれて、友だちもたくさんできました。言葉を超えて心がつながっていく。そんなダンスの力を感じる原体験となりました。
── ダンスの本質的な魅力に触れる経験を通して、ダンスに向き合う姿勢にも変化が生まれていったのですね。 はい。ここでみんなが心躍るようなパフォーマンスができるようになりたい。世界で戦いたいという、一つの明確な意志が湧き上がってきたんです。このときは予選落ちでしたが、次の年も絶対にここに来ると心に決めました。そこからは性格までも、がらっと変わりましたね。 もともと私はすごく人見知りで、人前で喋るのも好きじゃなかったんです。でも、スキルを磨くために、レッスンでは自分から周囲にコミュニケーションを取りに行くようになりました。それまで一人だけ下の階級から上がれなかったりオーディションに落ちたり、悔しい思いをたくさんしてきたんです。それが練習の姿勢を変えたことで、徐々にコンテストやバトルでも成果が出て、自信もついていきましたね。