キヤノンのフラッグシップ「EOS R1」、今月発売…プロ機材も席巻のミラーレス3強を解説
フィルムからデジタルへと劇的に変化した約20年前のように、カメラ業界が大変革している。レンズ交換式高級カメラの代名詞だった一眼レフがここ数年でミラーレスに置き換わり、出荷台数、金額とも国内市場の9割を占めるようになった。 【グラフ】ミラーレス一眼が一眼レフを逆転
パリ五輪「3強」消えた一眼レフ
日本代表の活躍に沸いた今夏のパリ五輪。熱闘を繰り広げる選手たちの陰で、カメラメーカーも熾烈(しれつ)な競争を展開していた。2016年リオデジャネイロ五輪まではキヤノンとニコンの一眼レフが双璧だったが、ミラーレス開発で先行したソニーが21年東京五輪で存在感を示し、ほぼすべてがミラーレスに移行したパリは「3強」の様相だった。
本体内の反射鏡に映った被写体をファインダーで見る一眼レフに対し、電子ファインダーに表示された映像を見るミラーレスはAF(自動焦点)の精度が高く、初心者でもプロ顔負けの写真が撮れる。反射鏡がないため小型軽量化も容易だ。
プロへの恩恵も大きい。シャッター音を消せるので、ゴルフや視覚障害者スポーツ、クラシックコンサートなど、音が出せない撮影には今や欠かせない。報道では光を記録するイメージセンサーが大きい「フルサイズ」のカメラを主に使うが、暗い場所でも高画質を保てるため、夜間の事件事故や星空撮影など、多様な現場で威力を発揮する。
ソニー、13年に世界初フルサイズ
報道向けカメラでは後発のソニーは、一眼レフが主力だった13年、世界初のフルサイズミラーレス「α7」を発売した。同社の町谷康文さん(46)は、「小型軽量化にはミラーレスしかないと思った」。一眼レフの本体が680~1300グラムだった時代、α7は約416グラムに抑えた。
映像や音響、通信など、他分野で培った技術を結集できるのがソニーの強み。17年にシャッターを切る瞬間にも電子ファインダーの映像が途切れない「α9」、21年に最高峰モデル「α1」を投入。今年発売の最新モデル「α9Ⅲ」には、1秒間に120コマ撮影できる超高速電子シャッターを搭載した。