「八代」含む全28駅の愛称名を販売、熊本の肥薩おれんじ鉄道
「地元企業の知名度アップに」
第三セクターの肥薩おれんじ鉄道(熊本県八代市)は、八代-川内(鹿児島県薩摩川内市)間の全28駅を対象に、副駅名となる企業や団体名などを入れた愛称の命名権(ネーミングライツ)販売に乗り出した。燃料価格高騰や利用者減で赤字が続く中、新たな収入源を確保するのが狙い。12月20日まで購入者を募っている。 命名権を得ると、駅名看板やホームの次駅案内板に副駅名として会社名やロゴが掲示される。車内の自動放送案内にも「まもなく八代駅 創業◯年の△株式会社に到着いたします」という具合に反映される。契約駅のデジタルサイネージ(電子看板)や広告枠も1枠ずつ利用できる。 契約期間は、来年3月のダイヤ改正日から26年3月のダイヤ改正日の前日まで。年間契約料は駅の利用者数などに応じて5段階で、乗降客の多い八代、水俣、出水、川内など9駅は最高価格の132万円。最も安い価格では33万円で名付け親になれる。 駅名愛称のネーミングライツは、九州の三セク鉄道では「平成筑豊鉄道」(福岡県福智町)と「くま川鉄道」(人吉市)が2008年に導入。肥薩おれんじ鉄道と事業連携する銚子電鉄(千葉県銚子市)が15年に取り入れており、ノウハウを学んだという。 担当者は「乗客は沿線の学生が中心。各業界の人手不足が深刻化する中、地元企業や団体にとって知名度アップや人材確保につながれば」と効果を期待する。 既に数社が名乗りを上げているという。来年1月に駅の愛称を決め、お披露目式や契約締結式を催す予定。肥薩おれんじ鉄道営業部=0996(63)6860。 (古川剛光)