コロナで「笑い」は変わるのかーーリモート時代に「生き残る」エンタメとは
テレ東、リモートシフトが早かった理由
佐久間が所属するテレビ東京は、この未曽有のコロナ危機にいち早く対応したことで業界内でも話題になった。4月3日から「出社2割」を掲げ、報道部門を除く全社員の2割以下の出社で放送事業を継続する体制に入った。他局に先駆けてロケや多人数のスタジオ収録も中止した。 また、4月25日に放送された『出川・IKKO・みやぞんの割り込んでいいですか?』は、リモートで収録された特番として話題になった。もともと予定していたロケが中止になったため、急きょ企画を変更してリモート収録を行ったのだ。企画力とフットワークの軽さが売りのテレ東らしい内容だった。 「ウチはもともと人数が少ないから、各部署がコミュニケーションをとりやすいっていうのがあります。あと、(2016年に)社屋が移転して、編成と営業と制作が同じフロアになったんですよ。それまではクリエーティブセクションと行政セクションが別々のビルに分かれていたんです。それらが一緒になったことで、何かあったらそれぞれの部署の人たちがすぐに集まって話ができるようになったんですよね」 テレビ東京はコロナ以前の2019年8月から在宅勤務制度を導入しており、その準備段階から社員に向けて数回にわたって説明会を行って周知をしていた。実際にリモートワークが社内で実践され始めていたため、コロナウイルスの感染拡大を受けて、導入していたシステムの拡充を進めることによって、非常事態にいち早く対応できた。
瀕死のエンタメに何を思う
新型コロナウイルスは収束の兆しが見えない。このままの状況が続くならば、テレビの制作体制にも抜本的な改革が求められるのだろうか。そして、コロナ収束後にも何らかの形でその影響は残るのだろうか。 「いわゆるバラエティー番組の面白さみたいなものがコロナ収束後に完全に変わっちゃうかというと、そうじゃないと思いますけどね。それよりも『垂れ流しではなく作品性のあるバラエティー番組を評価するべきじゃないか』という流れはその前から始まっていました。コロナで何かが変わるというより、コロナの影響でもともとあったそういう変化が加速する気はしますね」 佐久間はテレビだけでなく、映画、音楽、演劇など、幅広い分野のエンターテインメントに精通していることでも知られている。そんな彼は、ライブや公演が軒並み中止になり、窮地に追い込まれているエンタメ業界の現状に胸を痛めている。 「劇団やバンドが食っていけなくなってみんなが普通に就職しちゃったら、それから簡単には復活はできないじゃないですか。エンターテインメントの活動って、一度壊れるとそれを取り戻すのはすごく大変なんですよね。個人の創作とはそこがちょっと違う。 だから、今は苦しいかもしれないですけど、何とか壊れないようにセーフティーネットを組んだり、応援したりするっていうのはできる限りやっていきたいなと思いますね」