江夏豊氏・伝説のオールスター9連続奪三振…そのとき捕手・田淵幸一氏がひそかに考えていた作戦とは? キャッチャーになった驚きの理由
山本浩二氏に投手を諦めさせた!?
当時の法政大学野球部には“法政三羽ガラス”と呼ばれた田淵幸一氏、山本浩二氏、富田勝氏がいて、一学年下には、江本孟紀氏と東京六大学リーグ最多記録となる通算48勝をあげた山中正竹氏がいた。 田淵: 浩二はピッチャーで入ったんですよ。私がキャッチャーをやってて、松永さんから「浩二に変化球のサインは出すな」って言われたの。だから、私は真っすぐのサインを出す。それでボコボコに打たれた。 松永さんは「浩二は外野手」って決めてたんです。そういう慧眼があった。それで、浩二は外野になったの。 徳光: そのジャッジがなくて投手にこだわってたら、プロに行ってなかったかもしれませんもんね。 田淵: そうですよね。だから、私も浩二も、「今があるのは松永さんのおかげ」って、いつも言ってます。
癖を見抜いて盗塁阻止!?
徳光: 六大学時代の思い出といえば、やっぱりホームランを量産したってことでしょうか。 田淵: そうですね。22本という数字、背番号通りに打ったっていうかね。 田淵: もう一つは、明治に高田(繁)さんっていう足の速い人がいたじゃないですか。私とピッチャーの山中の間では、高田さんが塁に出たら、「カーブのサインを出しても俺が立ったら俺に向かって真っすぐを放れよ」っていうアイコンタクトがあったんです。それでビシッて盗塁を刺したんです。そういう練習をしていて、そのお陰で刺せた。 徳光: そういうプレーには、我々には分からない“やった感”みたいなものがあるんでしょうね。 田淵: 今のランナーは分からないけど、ランナーは走るとき、ズボンを上げたりとかの癖が出るんですよ。 徳光: そうか。僕らは通常、バッターやランナーにピッチャーの癖の話を聞くじゃないですか。キャッチャーも見てるわけだ。 田淵: しゃがんで構えてたら右の方に見えますもん。「あ、ズボン触ってるな、上げてるな」って。「行くぞ」っていう匂いがするんですよ。それがはまってランナーを刺すっていうのも楽しかったね。
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