全日本フィギュアSPで緊急挑戦の4回転に成功した15歳の佐藤駿は2022年北京五輪への超新星なのか?
フィギュアスケートの全日本選手権は20日、東京・国立代々木競技場で男子ショートプログラム(SP)を行い、今季のジュニア・グランプリファイナルを制した佐藤駿(15、埼玉栄高)が自己ベストを更新する82.68点をマーク。4年ぶり参加の五輪2連覇の羽生結弦(25、ANA)、宇野昌磨(22、トヨタ自動車)に続いて3位に食い込んだ。3年後の北京五輪を睨む超新星。このまま表彰台をキープする可能性は?果たして……。
緊急挑戦の4回転トゥループに成功
スタンディングオベーションが終わらない。 まだ表情にあどけなさを残す高校1年生。佐藤は、びっくりしたような表情で両手を広げて歓声に応えた。 「演技の内容が(どうだったか)、そこまで自分でも入ってなかったんですが、(大歓声を聞いて)改めて凄いな、頑張ったなと思いました」 代々木のファンを驚かせたのは、後半にチャレンジした4回転トゥループだ。高く舞うと綺麗に着氷に成功させた。GOE加点「2.71」と評価される見事な4回転である。ISUのジュニア規定では。男女共にSPに4回転を入れることはできないため、本来のプログラム予定では、ここは3回転ループの予定だった。だが、ISU非公認試合の全日本では4回転をSPに入れることができる。 「直前まで4回転をやるかやらないかで、ずっと迷っていて、公式(練習)とかも4回転の調子が悪くて、元々は入れないつもりだったのですが、80点を越えたいという思いがあって。4回転を降りて、あとはノーミスでいけば、さすがに80点は越えるかなと思ってやるしかないかなと思いました」 佐藤には「80点の壁を超える」という目標があった。 世界ジュニア選手権への出場権をかけた大会でもあり、SPに4回転を入れることのリスクはあったが、この先のシニア転向、2022年の北京五輪を見据えると、SPに4回転を入れることができる全日本で、一度、その壁を超えておきたかったのかもしれない。 ジュニアのハンデは、演技構成点の評価が低いこと。そこを考慮すると、80点越えを果たすためには、得点1.1倍となる後半に、基礎点で10.45点を稼ぐことのできる4回転トゥループを入れておきたかった。だが、公式練習では4回転+3回転の連続トゥループを試していたが、今ひとつ調子をつかめていなかった。それでも、SPでの4回転への挑戦を日下匡力コーチと浅野敬子コーチに直訴。「(直前の)6分間練習で調子がよかったから。不安はあったが、自信はついていたので」との理由で決断したという。 冒頭の3回転アクセルを綺麗に決め、続く3回転ルッツ+3回転トゥループの連続ジャンプの着氷は、少しバランスを崩したが、大きなミスなく演技をまとめて、目標だった80点越えも果たした。しかも、表彰台の可能性が高まる3位の位置につけたのだ。 大会前には「羽生選手と同じグループで戦うのが目標」と口にしていた。3位につけたことで、22日のフリーは羽生と同じく上位6選手の最終グループに入って演技するというもう一つの目標も達成した。