全日本フィギュアSPで緊急挑戦の4回転に成功した15歳の佐藤駿は2022年北京五輪への超新星なのか?
「今まで80点の壁というものがあって、全然超えられなかったんですが、4回転を決めることができて、なおかつ、80点を越えることができてとてもうれしく思っています」 佐藤ははにかみながら喜びのコメント。 もちろん、まだまだ発展途上。演技構成点は35.06と伸びず、スピン、ステップでは、最後の足換えコンビスピン以外はレベル「3」に終わるなど、今後の課題は、たくさんある。羽生、宇野との得点差は20点以上だ。それでも、「ポスト羽生」、「北京を狙う超新星」と呼ばれる存在感はしっかりと示した。 今季のジュニアのGPシリーズではアメリカ大会で優勝、クロアチア大会で3位に入り先のジュニアのGPファイナルで史上4人目となる優勝を果たした。ノービス時代には全日本4連覇。中学時代から4回転を成功させていて「次世代の4回転の申し子」と呼ばれていた。尊敬する羽生と同じく「アイスリンク仙台」でスケートを始め幼稚園時代に贈られたペンダントを今でも”お守り”のようにつけている話は有名なエピソード。4回転は、ルッツとトゥループの2種類をプログラムに組み込んでいるが、4回転サルコー、4回転ループも跳べ、4回転フリップを練習で着氷させたこともある。 表現力、スケーティング、ジャンプのつなぎなどの細かい部分などに、まだまだ課題は多いが、近年のフィギュアにおいて「勝つための最大条件」である技術点を数種類の4回転で奪う可能性のある佐藤へかかる期待は大きい。 フリーでは4回転ルッツ、4回転+3回転の連続トゥループ、4回転トゥループの3本の4回転を組み込むプログラムを用意している。田中刑事(25、倉敷芸術科学大学)が1.78差で4位、シニアデビューの島田高志郎(18、木下グループ)が2.09差で5位につけており、3位争いはミスした選手が脱落するという熾烈な展開になると予想される。だが、予定されているプログラムをノーミスで演技すれば、佐藤が、このまま3位をキープして表彰台に上がる可能性は十分にある。 「まだ終わっていないので、フリーでは切り替えて、ルッツ、トゥループの2本を決めてノーミスで演技ができるように頑張りたいです」 羽生の非公認の世界最高スコアや、宇野の復活、高橋大輔のシングルラスト出場など話題が盛りだくさんの全日本において、ジュニアの佐藤が、22日のフリーで、もうひとつの旋風を起こすのかもしれない。