NY出身の犬山市議会ビアンキ議長、「民主主義は守らないと簡単に消える」
プロセスが大事、議論が尽くされれば認めることが出来る
── 議員はそれぞれの町内などの利益や立場を代表して、まとまらなくなるのでは? そこを変えなくてはなりません。私が議員になったころ、大事なことは各派の「代表者会議」で決まっていました。議会の中でも数人が仕切る状態です。「代表者じゃないワシの意見はどうなるの?」と疑問でした。 仕切る人たちは、自分たちが多数派の場合は少数派の意見を無視します。逆に自分が少数派のときには、多数の意見が通らないように動きます。それは少数主義であって、民主主義ではありません。 だから、各派の代表者会議はやめて、全員で議論しようと呼び掛けました。先輩議員たちからは生意気だと言われましたが、やってみると議会の雰囲気はとてもよくなりました。私は少数派にいることが多いですから、簡単に自分の意見は通りません。でも、議論が尽くされれば、自分が望んでいる結果でなくても認めることができます。 ※地方議会では一般質問や議案質疑の後、経済や教育などの議題ごとに委員会に分かれて詳細を話し合います。議論を深めることができる一方、所属委員以外はその議題に関与ができません。しかし、犬山の議員間討議は委員会に分かれる前に開くため、委員以外の議員も意見を表明できることになります。※ 先の国会でも委員会の審議を飛ばしていましたが、論外です。議論のプロセスはとても大事です。民主主義は守らないと簡単に消えちゃう。知らない間に消えちゃうものです。
日本は議員数が多い
── アメリカの議会と比較すると、どう見えますか。 私はアメリカの議員を経験したことはないから、簡単には言えません。でも、単純に日本の議員の数は多すぎる。人口800万人超のニューヨークに、議員は51人しかいません。犬山も30人だった議員が今は20人になりましたが、私はさらにその半数でいいと思っています。 数が減れば一人ひとりの責任は大きくなります。ボランティアではできないので、プロとしての報酬は必要ですが、お金のためではなく、全体のことを考えて働かなくてはなりません。 その代わり、市民が直接、議場で意見を言う機会も必要です。犬山ではまだできていないので、これはぜひ実現したい。ただし、やるなら市民が提言した課題をまた全員協議会などで議論して、市民の発言がちゃんとアクションにつながっているという結果を、議会側が見せなければ。そういう身近で信頼され、役に立つ議会をつくっていきたい。それが私の考える議会の機能向上です。 ---------- ■関口威人(せきぐち・たけと) 1973年、横浜市生まれ。中日新聞記者を経て2008年からフリー。環境や防災、地域経済などのテーマで雑誌やウェブに寄稿、名古屋で環境専門フリーペーパー「Risa(リサ)」の編集長も務める。本サイトでは「Newzdrive」の屋号で執筆